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被害者の意見陳述制度
(2001.8.27)
犯罪の被害者は、犯罪によって最も深刻な影響を受けるのですから、加害者に対して強い憎しみを持ち、また、事件について様々な想いを持つことは当然です。ところが、これまで被害者は、刑事手続において証人としての地位しか与えられず、単に述べたことが証拠になるだけでした。しかし、まさに事件の最も重要な当事者である被害者が、事件や加害者に対して思っていることを述べることができないのは極めておかしなことです。特に、被告人にはその機会が与えられていることを考えれば、片手落ちを言わざるを得ません。

 そこで、被害者が事件や加害者に対する心情や意見を述べる機会が認められるようになりました。これが、被害者の意見陳述制度です。
これをすることができるのは、被害者またはその法定代理人(被害者が未成年の場合の親権者などがこれにあたります)ですが、被害者が亡くなられた場合は、その夫や妻、直系の親族、兄弟姉妹もすることができます。

 ところで、被害者が意見陳述により述べることができるのは「被害に関する心情その他の被告事件に関する意見」とされています。例えば、経済的・精神的なものも含んだ被害の実態や、被告人に対する感情などです。ただ、事件と関係のないことや重複したりする場合など一定の場合は制限されることがあります。しかし、全く無関係なことでない限り、あまり神経質にならなくてもよいと思います。
 また、場合によっては、裁判所が意見陳述を書面で行うよう命じることもありますが、被告人に対して自分の意見をきちんと聞かせるためには、できるだけ公判廷において口頭で述べさせてもらうよう主張してみましょう。

 意見陳述を行うには、まず検察官に申し出なければなりません。そして、検察官はこれに意見を付して裁判所に通知します。裁判所がそれを行うことを決定すると、申し出た者にそれを行う期日通知します。その時期について法律には定められておりませんが、通常は公判手続きの最終段階、すなわち、証拠調べの手続きが終わり、検察官の論告、求刑の前に行われているようです。ただ、事案によっては、それ以前に行われることもありますので、希望する場合は、早めに公判担当の検察官に申し出て相談した方が良いでしょう。

 意見陳述をする場合は、法廷傍聴をしたり訴訟記録の閲覧謄写を行うなどして、事実関係や訴訟の経過について十分情報を得ておくことが必要だと思います。
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