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全国犯罪被害者の会■マーク 犯罪被害者に信用されない刑事司法

全国犯罪被害者の会代表幹事・弁護士 岡村 勲

「現代刑事法 その理論と実務」 2000年11月号 No.19  現代法律出版発行
特集・犯罪被害者保護関連二法の成立と展望
・誰のための裁判か
・被害者の応報感情
・外国における刑事司法のなかでの被害者救済
・我が国の刑事司法は、被害者のためにあるのではない
・なぜ司法は被害者に冷たいのか
・被害者訴追
・被害者の訴訟参加
・捜査記録
・付帯私訴
・相場に従う裁判官
・裁判官は責任を持つのか
・出所情報と安全の保障
・刑事司法を被害者の手に取戻す
・被害者等保護法及び刑事訴訟法等の一部改正について

● 誰のための裁判か

 加害者は憲法、刑事訴訟法で多くの権利が認められているのに、被害者には何の権利もない。私も法律家としてこのことは前々から知ってはいた。しかし遺族になるまで、それがこんなにも不合理な制度であるということには気がつかなかった。
不都合であると痛切に感じたのは、公判記録の閲覧を願い出たときである。傍聴人席では、証人尋問を聴くことはできたが、参考人や加害者の供述調書の全文が朗読されるわけではなく、実況見分調書や写真などは傍聴席には回ってこないから、事件の真相を知ることはできなかった。そこで、裁判所に公判記録の閲覧を願い出たが、「被害者には公判記録の閲覧権がありません」という理由で拒否された。確かに法律には被害者に閲覧権があるとは書いていない。とはいえ公開法廷の記録である。加害者には見せて、被害者には見せないというのは、なぜだ。私が見たら、どういう不都合が生じるというのだ。

企業に対して恐喝してきた男が、要求に応じなかった企業代理人である私を逆恨みし、身代わりに妻を刺殺した。この男とは会ったこともなければ、話をしたこともない。文書の応酬で交渉しただけである。彼は法廷でも嘘のつき放題、被害者の名誉も傷つけた。しかし私には、詰問することも、反論することも許されない。事件の当事者、最大の利害関係人である遺族を訴訟手続きの外に置いてしまう刑事司法に憤りを覚えた。一体誰のための裁判なのだ。

● 被害者の応報感情

 人問誰しも犯罪、特に重大な犯罪の被害者や遺族になれば、加害者に対して応報感情を持つのは当然だ。
昔は「仇討ち」という制度があった。殺害された被害者の近親者は、休職して仇討ちに行く。捜査費用は本人持ちだ。首尾よく目的を達して帰国したら、武士の鑑として賞賛され、復職する。途中の艱難辛苦に堪えかねて、脱落した者もいたろうが、それはともかく被害者の応報感情を満たす道は開かれていた。この制度は明治になっても続き、同15年公布の旧刑法で禁止となった(石井良助『大系日本史叢書4法制史』314頁)。私的制裁を許すと法秩序が保てない、国が仇を討ってやるから、勝手にやるな、ということだったのだろう。

仇討ちが禁止されても、被害者や遺族の無念な気持、応報感情がなくなるわけではない。赤穂浪士の忠臣蔵がいまでも歌舞伎座を満席にするのも、これを如実に物語っている。
20年前、木下恵介監督の「息子よ」という名画があった。犯罪被害者等給付金支給法制定の原動力となった市ノ瀬さんの感動的な物語だが、通り魔に襲われた一人息子が病床で父親に「仇を討ってくれよ」としがみつき、父親が裁判所で加害者を刺そうとするシーンが観客の涙を誘った。妻と幼児を殺された本村洋さんは「裁判所が加害者を死刑にしないのなら、自分が死刑にする」と叫んだ。これが多くの人々の共感を呼び、電話やファックスが、本村さんのもとに殺到した。これも一般市民の加害者に対する応報感情の現れだ。

● 外国における刑事司法のなかでの被害者救済

 被害者、ことに重大犯罪の被害者は、加害者に厳しい刑罰が下されることを願っている。加害者に対する刑罰が被害者の精神的救済に役立つことは否めない。そこで、世界の国々では、刑事司法のなかで出来る限り被害者の思いを汲み上げ、工夫を凝らしている。
フランスでは、検察官と並んで、被害者も公訴提起できることになっている。起訴便宜主義を採用してはいるが、被害者自身が訴追できるから、検察官の不起訴処分に泣かされることはない。検察官が公訴提起したときは、被害者は訴訟に参加し、自ら又は弁護士を代理人とし被告人や証人に対して質問することができるようになっている。

ドイツでは、住居侵入、侮辱、信書の秘密侵害など重罪でない一定の犯罪については、被害者自身が訴追するのが原則で、これらの犯罪に公共の利益が存するときに限って検事局も公訴できることになっている。その他の重罪については検事局だけが訴追するが、起訴法定主義(実際には若干の例外はあるようだが)をとっているので、不起訴処分によって被害者が泣き寝入りさせられることはない。また検事局が起訴した事件については、被害者は訴訟手続きに参加し、裁判官に対する忌避権、裁判長の命令、質問に対する異議権、証拠申請権、質問権、意見陳述権が保障され、弁護士を付けるための訴訟援助も認められている(平成11年度犯罪白書408頁)。

イギリスは、私人訴追が原則で、被害者はもちろん、被害者でない私人も訴追できる。犯罪が複雑化、多様化しているために、私人が訴追することは難しくなり、実際は警察官が訴追することが多いが、私人訴追の原則は維持されているという。
アメリカは私人訴追を認めないが、その代わり重罪については起訴陪審(大陪審)の制度がある。被害者の法廷へ在廷する権利や意見陳述権が、連邦をはじめ多くの州で認められている。

これらの国が被害者の訴追や訴訟参加を認めているのは、犯罪の当事者である被害者の感情を尊重し、被害者自身を刑事司法のなかに取り込んだのである。
フランス、ドイツ、ハンガリーなどの大陸法系の国では、刑事訴訟のなかで付帯私訴制度を設け、イギリス、アメリカ、カナダなど英米法系の国では、刑事手続きのなかで賠償命令制度を設け、いずれも被害者の損害回復を容易にしようとしている。中国でも付帯私訴制度を置き、検事が損害賠償請求することができることになっている。刑事司法は被害者のためにもあると位置づけ、その手続きのなかで被害の回復を図ろうと努力しているのだ。

● 我が国の刑事司法は、被害者のためにあるのではない

 ところが、我が国の刑事司法は、仇討ちを禁止したときの約束を忘れ、刑事訴訟は社会の秩序を維持するためのもので、被害者のためのものではないとして、被害者を刑事手続きから排除してしまった。
最高裁は平成2年2月20日、「犯罪の捜査及び検察官による公訴権の行使は、国家及び社会の秩序維持という公益を図るために行われるものであって、犯罪の被害者の被侵害利益ないし損害の回復を目的とするものではなく被害者又は告訴人が捜査又は公訴提起によって受ける利益は、公益上の見地に立って行われる捜査又は公訴の提起によって反射的にもたらされる事実上の利益にすぎず、法律上保護された利益ではないというべきである」と判示した。

刑事司法は、公の利益を護るためのもので、被害者の利益擁護や損害回復のためにあるのではない、と言いきったのだ。だから捜査情報の提供も、起訴不起訴の通知も、公判期日の通知もせず、起訴状、判決の送達も不用だということになる。最近では、警察や検察も通知などを始めたが、それはあくまで被害者に対する恩恵にすぎない。
最高裁は、被害の回復は被害者自身が民事訴訟でやるべきだ、と言いたいのだろう。だが、犯罪被害者の多くは無資力者で、時間と労力をかけて訴えを起こして勝訴判決をとっても、実効がないことは裁判所自身がよく知っているはずだ。結局、司法は被害者にとっては役に立たないということだ。

我が国の刑事司法は刑罰権を独占しただけでなく、訴追権も独占した。しかも起訴便宜主義を採用したので、公訴提起をするかどうかは、検察官の胸三寸で決まる。平成11年度の犯罪白書によると、検察官の処理件数のうち、起訴率は67%だが、公判請求は4.9%。
略式命令請求48.3%、起訴猶予31.2%、その他不起訴12.6%、家裁送致14.0%となっている(同書38頁)。このため、悪質な犯罪で証拠も充分揃っているのに不起訴にされたという、被害者の不満が出る。

しかし、最高裁の見解に従えば、公訴提起は被害者のためにするのではないから、被害者の期待に応える必要はないということになる。起訴してもらえなかった被害者が、検察審査会に審査請求したとしても、検察審査会の結論は検察に対する拘束力をもたないから、被害者は欲求不満の儘に終わることになる。

● なぜ司法は被害者に冷たいのか

 我が国の司法が被害者に冷たいのは、司法が国の行政目的に奉仕するために生まれたという、歴史に由来するからであろう。治外法権撤廃は明治政府の悲願だったが、「司法制度がない国に、自国民を裁判させるわけにはいかない」という外国の反対にあい、急いで司法制度の整備を始めた。外国人法学者を招いて翻訳させ、留学生を派遣したりして、法律や裁判制度を作っていった。

元大審院や法務省の赤煉瓦の立派な建物は、イギリス大使が馬車で往復する通り道に、大使に見せるために建設されたという話を聞いたこともある。こうして行政目的のために出来上がった司法制度だ。国民よりも、「公」の方に目が行くのは自然の流れで、これがいまも続いているのだろう。

いま司法改革が叫ばれているが、この本質的な部分にメスを入れなければ、司法は生まれ変わらないだろう。刑事司法を被害者の手に取戻すためにはどうすればよいか、司法のあり方として真剣に考えなければならない。

● 被害者訴追

 訴追権について言えば、検察の公訴権を独占する制度を再検討する必要があるのではないか。一般私人にまで訴追権を与えるかどうかはさておいて、被害者に訴追権を与える道を残すことも必要ではないのか。むしろ、被害者が犯罪者と戦うことで、社会の秩序は維持されるのでないか。

被害者が訴追することは実際上は多くの問題を伴う。しかし、どれだけ活用されるかは別として、被害者訴追制度の存在自体が、被害者の精神的救済になり、司法に対する信頼に繋がる。起訴便宜主義に対するコントロールにもなるであろう。

● 被害者の訴訟参加

 検察官公訴のときは、被害者が裁判に参加する制度を設けることも必要である。参加した被害者は、公判立会権、質問権、尋問権、異議権、記録の閲覧・謄写権、証拠請求権を持ち、期日指定には被害者として意見を述べ、もちろん起訴状や判決の送達も受けるようにする。検察官との関係については、ドイツの実状を研究する必要がある。

重大事件の場合、被害者が加害者と対峙できるのは刑事法廷でしかない。被害者が思いの丈を述べることは、被害者の立ち直りのために必要であるだけでなく、加害者の更正にも役立つだろう。被害者の厳しい視線や糾弾を受けて、ことの重大さにはじめて気づく。そして反省する。犯罪白書によると、被害者の感情を理解しない加害者が余りにも多い。被害者との対峙は加害者のためにも必要だ。

被害者が訴訟に参加すると応報的になりすぎて刑が重くなるという説がある。それでは、被害者が原告、加害者が被告である民事訴訟ではどうか。民事訴訟で応報的で過大な損害賠償判決が出たという話は聞かない。被害者が参加して刑が重くなったなら、それはそれが正常な刑なのであり、被害者が参加しないときの刑が軽すぎるのだ。

以上の被害者の権利行使には、弁護士を代理人とすることが必要である。加害者に国選弁護人制度があるのだから、被害者にも国費による弁護士を付けるべきだ。

● 捜査記録

 捜査記録のすべてが公判に提出されるわけではない。検察官が公判維持に不要と思ったり、弁護人が不同意にしたものは、法廷には検出されない。未提出の書類を被害者が閲覧・謄写できるようにしてもらいたい。犯罪は家族のいないところで行われることが多い。

なぜ犯罪に巻き込まれたのか細大漏らさず知りたいのだ。捜査記録を他に悪用したり、捜査に影響を及ぼさない限り、閲覧・謄写させてもらいたいものだ。被害者のために捜査しているのではないとは、言わないでほしい。犯罪について被害者は知る権利があるのだ。

● 付帯私訴

 昭和24年まで、付帯私訴制度があった。加害者が訴追(公訴)されたとき、被害者がこれに附帯して加害者を被告として損害賠償の民事訴訟(私訴)を提起すれば、刑事の裁判所が私訴も審理するというもので、検察官提出の証拠は私訴に利用できるうえ、印紙も不要で、被害者にとって便利な制度であった。刑事訴訟法が職権主義から当事者主義へと転換し、手続きが複雑になって、私訴を取り込むことが難しくなったというのが廃止の理由だが、工夫次第で克服できないものではない。実際に大陸法系の国では行われているのだ。

是非とも付帯私訴制度の復活を望みたい。この制度は公訴と私訴が混在する形になるから、公判期日に被害者ならびにその代理人が出席して証人や加害者に尋問でき、公判記録の閲覧もできるから、被害者の不満をある程度解消できるという利点もある。

● 相場に従う裁判官

 裁判官は法と良心に従って裁判するというが、実際には量刑の相場に従って裁判している。 19年前に最高裁の出した「永山判決」が死刑選択の基準について述べている。「犯行の罪質、動機、態様ことに殺害の手段方法の執拗性、残虐性、結果の重大性ことに殺害された被害者の数、遺族の被害者感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状等各般の情状を合わせ考察したとき、その罪責が誠に重大であって、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極刑がやむを得ないと認められる場合のみ、その(死刑)選択が許される。」

「永山判決」は、考慮すべき事情の一つとして、被害者の数といっただけで、1人のときは死刑にしてはいけないといってはいないのだが、いつの間にか被害者が複数でなければ死刑にしないという流れができてしまった。これは国民感情とは著しく乖離する。

妻の事件を例に挙げてみる。企業に対する恐喝未遂で懲役2年執行猶予4年の判決を受けた加害者は、企業の代理人である私を恨み、判決の翌日、サバイバルナイフ2丁を買って私を狙った。ところが別件を起こして懲役1年の実刑となり、執行猶予も取り消された。平成8年2月に仮出獄し、翌月から再び企業に対して恐喝を始めた。平成9年10月、宅配員を装って妻を玄関におびき出し、私の身代わりに刺殺した。その数日後には企業に赴いて、妻の死を話題にして畏怖させ、巨額の金銭を要求している。

加害者は前科9犯、犯歴15回。刑務所に入るつど反社会性を深化させている、遺族に謝罪も弁償もせず、刑事責任を真摯に受け止めていないと判決は述べている。しかもお礼参りの構えも見せている。検察は強盗殺人にも匹敵するといって死刑を求刑した。判決は、利欲よりも報復目的が強かった、妻を襲ったのだから計画的ではない、株取引で損をしていた事情がある、今まで最高5年の刑しか受けていない、離婚後子の養育費を払い続けてきた、防災マスクを考案した、一応被告人なりに冥福を祈っているなどいい、とりわけ被害者が1人であることを強調して無期懲役刑にした。

私を襲えば計画的だが、妻を刺したのだから計画的でないから刑が軽くなるとは、何事か。利得目的より逆恨みの報復目的の方が、罪が軽いとは、どういうことだ。公判の傍聴人で、加害者が冥福を祈っていると思った者は1人もいない。養育費を送ったり、発明をしたことと刑事責任に何の関係があるのか。

要は、被害者が1人だということで、理屈にならない理屈をつけて無期懲役にしたのだ。 被害者が1人のために死刑にならなかった凶悪犯罪はいくつもあるが、被害者と加害者の命の価値は1:2または1:3ということなのか。

人の命は全地球よりも重いと言ったのは最高裁だが、加害者の命は地球の2倍も3倍も重いと言うことか。人の命を数で勘定しないでほしい。死亡者だけが被害者ではなく、悲嘆にくれている遺族も被害者だということも、忘れないでほしい。

とにかく国民に通用しないような理屈はやめてほしい。これほど被害者を傷つけるものはない。最初から刑を軽くするつもりなら、「冷酷非情にして情状酌量の余地がない」「被害者の極刑を望むのは、まことに無理からぬものがある」とか、物わかりのよい言葉を並べるパターンも無用に願いたい。被害者は白けて傷つく。

裁判官は、上訴審で覆されないよう、相場に従って無難な判決を書いているとしか、被害者には見えない。事件は一件、一件違うのだ。前例踏襲で裁判するなら、コンピューターにやらせればよいことになる。

● 裁判官は責任を持つのか

 裁判官は、被害者にも、加害者にも手の届かない万能の存在だ。いつも不思議に思うのだが、この万能者は、自分が言い渡した判決に責任を持つのだろうか。妻の加害者は、執行猶予判決の翌日、私を刺殺するための凶器を購入した。

執行猶予は改悛の情があり、再犯の恐れがないときにだけ付けられるのだから、明らかに失敗判決だ。執行猶予判決を受けた者が、執行猶予期間中にお礼参りをしたり、重罪を起こすことはよくある。執行猶予の判決を下した裁判官は、こういった再犯についてどう思っているのだろうか。

殺人事件で1人殺して無期懲役以下になり、仮出獄後に再度殺人を犯して初めて死刑という流れができたことは前述した。妻の事件の判決の4日後に3人の死刑が執行されたが、すべてがこの事例だ。うち1件はお礼参りで2人を殺害している。最初の判決で死刑にすることも可能だったし、死刑にしておけば後の犠牲者は生まれなかった。最初の判決を下した裁判官の責任はどうなるのか。

被害者はマイナスの反謝的利益を受けただけで、白分達には責任はないというのか。それでは秩序維持についての責任はどうなる。

● 出所情報と安全の保障

 仮出獄制度にも問題がある。有期刑については刑期の3分の1、無期刑について10年が過ぎ、改悛の情があるときに、刑務所長の申請で地方更正保護委員会が仮出獄を決定する。仮出獄中に犯罪を犯したとき、無期刑の加害者を仮出獄させた刑務所長、地方更正保護委員は、どのような責任をとるのか。

被害者は、出獄した加害者がお礼参りに来ないかと常に不安を覚えている。いつ出てくるのか知りたいと思う。ところが矯正当局は、加害者の更正のためとか、プライバシー保護とかいって出所情報を教えはしない。被害者と加害者のどちらが大切なのだ、と問いたくなる。

日本たばこの女子職員殺人事件は、加害者が出所後再び加害者になった典型例だ。加害者は被害者の情報を知っているが、被害者には何の情報も与えられないのだ。外国では必要に応じて本人や、地域、団体等に対して出所情報などを教えているそうだ。行刑も被害者のためにやっているのではないということなのか。

● 刑事司法を被害者の手に取戻す

 繰り返すが、刑事司法は、被害者を置き去りにしている。被害者の立場になって考えていない。少年達に捕まって、トンネルのなかでひどい暴行と侮辱を受け、死の寸前まで行った少年は、10年近く経っても狭いエレベーに乗ることもできない恐怖を抱えている。「犯人が捕まっても、刑務所には入れたくない。自分と同じ苦しみを味あわせてやる。」と、青年になっている被害者は言っている。この言葉は、人間の尊厳を侵された者が抱えている思いの核心をついたものだ。悲惨な日々を送っている者にとっては、「捜査や公訴提起は、被害者のためにあるのではなく、公のためにあるのだ」という刑事司法を信頼するはずがない。

今年1月23日、全国の犯罪被害者が東京に集まった。被害者がつぎつぎと立ち上がって述べる話は、悲惨としか言い様の仕様のないものばかりで、聴きながら胸が張り裂ける思いがした。

犯罪被害者は、深い痛手を負い、経済的、精神的に苦しみながら、必死に生きてきた。そして、この集まりを通して、加害者に比べて被害者である自分の人権がいかに無視されているかも知った。国が加害者にはどれだけの金を費やし、被害者にはどれだけを使っているか、その実態も知った。

平成10年度で見ると、犯罪被害者には遺族給付金、障害給付金として5億7千万円しか支払われていないのに、加害者には、国選弁護報酬46億円のほか、食料費、医療費、被服費300億円も国が支出していることも知った。被害者が病院探しと医療費、介護費、生活費で苦労しているとき、加害者は医療病棟で国費の世話を受けていることも知った。
被害者は、自分たちの権利に目覚め、刑事司法を被害者のために取戻すために立ちあがったのである。

● 被害者等保護法及び刑事訴訟法等の一部改正について

 今年5月、刑事訴訟法等が一部改正され、犯罪被害者等保護法が制定された。性犯罪の告訴期問の撤廃、証人負担の軽減、確定前の公判記録の閲覧・謄写の許可など、被害者保護の点から一歩前進であることは間違いない。しかし、私たち犯罪被害者が希望する、訴訟法上の権利の確立からはほど遠いものだ。現行制度の枠組みのなかで恩恵を与えようとするもので、相変わらず被害者の権利性は認められていない。いわば、蚊帳の中からビスケットを投げてもらったようなものだ。

家族の優先傍聴は認められたが、範囲が狭すぎる。証人として出廷する被害者、遺族に対する付き添いは認められたが、傍聴する被害者、遺族には付き添いが認められてはいない。民事上の和解を記載した公判調書に対する執行力の付与は、賠償金を支払わない加害者に強制執行できる点では利点はある。

しかし、執行猶予を取れば和解金を支払わなくなる事例は多かったから、履行しないときのペナルティー、執行猶予の取り消し、出所禁止などを伴わなければ、実効が上がらないのではないか。被害者は、公判調書に記載した和解は確実に履行されると当然考えるから、不履行になったとき、司法不信を招くのではないかと懸念する。約束した賠償金を支払わないときには、執行猶予の取り消しや出獄を認めないなど制裁措置の早急な検討を求めたい。

公判手続きにおける被害者等による心情その他の意見の陳述権の創設は、刑事司法手続きへの参加が僅かではあるが実現したことを意味するが、それとても検察官を介しての申し出であり、被害者の裁判所に対する直接の権利ではないという点では問題がある。

被害者が公判記録の閲覧・謄写をしたいのは、損害賠償請求をするためよりも、事実を知りたいのが主たる理由である。「被害者が事実を知りたい場合その他正当な理由がある場合」というふうに、順序を逆にして貰いたい。

検察審査会への審査申立人の範囲拡大は良とするが、申立人の意見陳述権を認めるべきだ。審査会は、検察官の起訴独占主義に対する抑制装置であり、私人訴追、大陪審に代わるべきものであるのだから、審査会の出す結論にはもっと拘束力を持たすべきである。
(おかむら・いさを)

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【資料】犯罪被害者保護関連二法

(1)刑事訴訟法及び検察審査会法の一部を改正する法律新旧対照条文
      (赤字部分は改正部分)

【一】 刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)
改正後 改正前
第四十条 弁護人は、公訴の提起後は、裁判所において、訴訟に関する書類及び証拠物を閲覧し、且つ謄写することができる。但し、証拠物を謄写するについては、裁判長の許可を受けなければならない (同上)
[2] 前項の規定にかかわらず、第百五十七条の四第三項に規定する記録媒体は、謄写することができない。 (新設)


第百五十七条の二 裁判所は、証人を尋問する場合において、証人の年齢、心身の状態その他の事情を考慮し、証人が著しく不安又は緊張を覚えるおそれがあると認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、その不安又は緊張を緩和するのに適当であり、かつ、裁判官若しくは訴訟関係人の尋問若しくは証人の供述を妨げ、又はその供述の内容に不当な影響を与えるおそれがないと認める者を、その証人の供述中、証人に付き添わせることができる。 (新設)
[2] 前項の規定により証人に付き添うこととされた者は、その証人の供述中、裁判官若しくは訴訟関係人の尋問若しくは証人の供述を妨げ、又はその供述の内容に不当な影響を与えるような言動をしてはならない。


第百五十七条の三 裁判所は、証人を尋問する場合において、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、証人が被告人の面前(次条第一項に規定する方法による場合を含む。)において供述するときは圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合であつて、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、被告人とその証人との間で、一方から又は相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができる。ただし、被告人から証人の状態を認識することができないようにするための措置については、弁護人が出頭している場合に限り、採ることができる。 (新設)
[2]裁判所は、証人を尋問する場合において、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、名誉に対する影響その他の事情を考慮し、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、傍聴人とその証人との間で、相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採ることかできる。


第百五十七条の四 裁判所は、次に掲げる者を証人として尋問する場合において、相当と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、裁判官及び訴訟関係人が証人を尋問するために在席する場所以外の場所(これらの者が在席する場所と同一の構内に限る。)にその証人を在席させ、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によつて、尋問することができる。

一 刑法第百七十六条から第百七十ハ条まで、第百ハ十一条、第二百二十五条(わいせつ又は結婚の目的に係る部分に限る。以下この号において同じ。)、第二百二走七条第一項(第二百二十五条の罪を犯した者を幇助する目的に係る部分に限る。)若しくは第三項(わいせつの目的に係る部分に限る。)若しくは第二百四十一条前段の罪又はこれらの罪の未遂罪の被害者

二 児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第六十条第一項の罪若しくは同法第三十四条第一項第九号に係る同法第六十条第二項の罪又は児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関る法律(平成十一年法律第五十二号)第四条から第八条までの罪の被害者

三 前二号に掲げる者のほか、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、裁判官及び訴訟関係人が証人を尋問するために在席する場所において供述するときは圧迫を受け精神の平穏を若しく害されるおそれがあると認められる者
(新設)
[2] 前項に規定する右法により証人尋問を行う場合において、裁判所は、その証人が後の刑事手続において同一の事実につき再び証人として供述を求められることがあると思料する場合であつて、証人の同意があるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、その証人の尋問及び供述並びにその状況を記録媒体(映像及び音声を同時に記録することができる物をいう。以下同じ。)に記録することができる。
[3] 前項の規定により証人の尋問及び供述並びにその状況を記録した記録媒体は、訴訟記録に添付して調書の一部とするものとする。

改正後 改正前
第百八十条 検察官及び弁護人は、裁判所において、前条第一項の処分に関する書類及び証拠物を閲覧し、且つ謄写することができる。但し、弁護人が証拠物の謄写をするについは、裁判官の許可を受けなければならない。 (同上)
[2] 前項の規定にかかわらず、第百五十七条の四第三項に規定する記録媒体は、謄写することができない。 (新設)
[3] 被告人又は被疑者は、裁判官の許可を受け、裁判所において、 第一項の書類及び証拠物を閲覧することができる。 ただし被告人又は被疑者に弁護人があるときは、この限りではない。 [3] 被告人又は被疑者は、裁判官の許可を受け、裁判所において、 前項の書類及び証拠物を閲覧することができる。 但し、被告人又は被疑者に弁護人があるときは、この限りでない。

改正後 改正前
第二百三十五条 親告罪の告訴は、犯人を知った日から六箇月を経過したときは、これをすることができない。 ただし、次に掲げる告訴については、この限りでない。

一 刑法第百七十六条から第百七十八条まで、第二百二十五条若しくは第二百二十七条第一項(第二百二十五条の罪を犯した者を幇助する目的に係る部分に限る。)若しくは第三項の罪又はこれらの罪に係る未遂罪につき行う告訴

二 刑法第二百三十二条第二項の規定により外国の代表者が行う告訴及び日本国に派遣された外国の使節に対する同法第二百三十条又は第二百三十一条の罪につきその使節が行う告訴
第二百三十五条 親告罪の告訴は、犯人を知つた日から六箇月を経過したときは、これをすることができない。 但し、刑法第二百三十二条第二項の規定により外国の代表者が行う告訴及び日本国に派遣された外国の使節に対する刑法第二百三十条又は第二百三十一条の罪につきその使節が行う告訴については、この限りでない。
[2] 刑法第二百二十九条但書の場合における告訴は、婚姻の無効又は取消の裁判が確定した日から六箇月以内にこれをしなければ、その効力がない。 (同上)

改正後 改正前
第二百七十条 検察官は、公訴の提起後は、訴訟に関する書類及び証拠物を閲覧し、且つ謄写することができる。 (同上)
[2] 前項の規定にかかわらず、第百五十七条の四第三項に規定する記録媒体は、謄写することができない。 (新設)

改正後 改正前
第二百八十一条の二 裁判所は、公判期日外における証人尋問に被告人が立ち会った場合において、証人が被告人の面前 (第百五十七条の三第一項に規定する措置を採る場合及び第百五十七条の四第一項に規定する方法による場合を含む。)においては圧迫を受け充分な供述をすることができないと認めるときは、弁護人が立ち会っている場合に限り、検察官及び弁護人の意見を聴き、その証人の供述中被告人を退席させることができる。この場合には、供述終了後被告人に証言の要旨を告知し、その証人を尋問する機会を与えなければならない。 第二百八十一条の二 裁判所は、公判期日外における証人尋問に被告人が立ち会った場合において、証人が被告人の面前においては圧迫を受け充分な供述をすることができないと認めるときは、弁護人が立ち会っている場合に限り、検察官及び弁護人の意見を聴き、その証人の供述中被告人を退席させることができる。この場合には、供述終了後被告人に証言の要旨を告知し、その証人を尋問する機会を与えなければならない。

改正後 改正前
第二百九十二条の二 裁判所は、被害者又はその法定代理人(被害者が死亡した場合においては、その配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹。以下この条において「被害者等」という)から、被害に関する心情その他の被告事件に関する意見の陳述の申出があるときは、公判期日において、その意見を陳述させるものとする。

[2] 前項の規定による意見の陳述の申出は、あらかじめ、検察官にしなければならない。この場合において、検察官は、意見を付して、これを裁判所に通知するものとする。

[3] 裁判長又は陪席の裁判官は、被害者等が意見を陳述した後、その趣旨を明確にするため、当該被害者等に質問をすることかできる。

[4] 訴訟関係人は、被害者等が意見を陳述した後、その趣旨を明確にするため、裁判長に告げて、当該被害者等に質問することができる。

[5] 裁判長は、被害者等の意見の陳述又は訴訟関係人の被害者等に対する質問が既にした陳述若しくは質問と重複するとき、又は事件に関係のない事項にわたるときその他相当でないときは、これを制限することができる。


[6] 第百五十七条の二、第百五十七条の三及び第百五十七条の四第一項の規定は、第一項の規定による意見の陳述について準用する。

[7] 裁判所は、審理の状況その他の事情を考慮して、相当でないと認めるときは、意見の陳述に代え意見を記載した書面を提出させ、又は意見の陳述をさせないことができる。

[8] 前項の規定により書面が提出された場合には、裁判長は、公判期日において、そ

[9] 第一項の規定による陳述又は第七項の規定による書面は、犯罪事実の認定のための証拠とすることができない。
(新設)

改正後 改正前
第三百四条の二 裁判所は、証人を尋問する場合において、証人が被告人の面前 (第百五十七条の三第一項に規定する措置を採る場合及び第百五十七条の四第一項に規定する方法による場合を含む。)においては圧迫を受け充分な供述をすることができないと認めるときは、弁護人が出頭している場合に限り、検察官及び弁護人の意見を聴き、その証人の供述中被告人を退廷させることができる。この場合には、供述終了後被告人を入廷させ、これに証言の要旨を告知し、その証人を尋問する機会を与えなければならない。 第三百四条の二 裁判所は、証人を尋問する場合において、証人が被告人の面前においては圧迫を受け充分な供述をすることができないと認めるときは、弁護人が出頭している場合に限り、検察官及び弁護人の意見を聴き、その証人の供述中被告人を退廷させることができる。この場合には、供述終了後被告人を入廷させ、これに証言の要旨を告知し、その証人を尋問する機会を与えなければならない。

改正後 改正前
第三百五条 検察官、被告人又は弁護人の請求により、証拠書類の取調をするについては、裁判長は、その取調を請求した者にこれを朗読させなければならない。但し、裁判長は、自らこれを朗読し、又は陪席の裁判官若しくは裁判所書記にこれを朗読させることができる。 (同上)
[2] 裁判所が職権で証拠書類の取調をするについては、裁判長は、自らその書類を朗読し、又は陪席の裁判官若しくは裁判所書記にこれを朗読させなければならない。 (同上)
[3] 第百五十七条の四第三項の規定により記録媒体がその一部とされた調書の取調べについては、前二項による朗読に代えて、当該記録媒体を再生するものとする。ただし、裁判長は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、当該記録媒体の再生に代えて、当該調書の取調べを請求した者、陪席の裁判官若しくは裁判所書記官に当該調書に記録された供述の内容を告げさせ、又は自らこれを告げることができる。 (新設)
[4] 裁判所は、前項の規定により第百五十七条の四第三項に規定する記録媒体を再生する場合において、必要と認めるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、第百五十七条の三に規定する措置を採ることができる。 (新設)

改正後 改正前
第三百二十一条 被告人以外の者が作成した供述書又はその者の供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるものは、次に掲げる場合に限り、これを証拠とすることができる。

一 裁判官の面前 (第百五十七条の四第一項に規定する右法による場合を含む。)における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は供述者が公判準備若しくは公判期日において前の供述と異つた供述をしたとき。

二 検察官の面前における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は公判準備若しくは公判期日に異った供述をしたとき。但し、公判準備又は公判期日における供述よりも前の供述を信用すべき特別の情況に存するときに限る。

三 前二号に掲げる書面以外の書面については、供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明又は国外にいるため公判準備又は公判期日において供述することができず、且つ、その供述が犯罪事実の存否の証明に欠くことができないものであるとき。但し、その供述が特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限る。
第三百二十一条 被告人以外の者が作成した供述書又はその者の供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるものは、左の場合に限り、これを証拠とすることができる。 一 裁判官の面前における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は供述者が公判準備若しくは公判期日において前の供述と異つた供述をしたとき。
[2] 被告人以外の者の公判準備若しくは公判期日における供述を録取した書面又は裁判所若しくは裁判官の検証の結果を記載した書面は、前項の規定にかかわらず、これを証拠とすることできる。 (同上)
[3] 検察官、検察事務官又は司法警察職員の検証の結果を記載した書面は、その供述者が公判期日において証人として尋問を受け、その真正に作成されたものであることを供述したときは、第一項の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。 (同上)
[4] 鑑定の経過及び結果を記載した書面で鑑定人の作成したものについても、前項と同様である。 (同上)

改正後 改正前
第三百二十一条の二 被告事件の公判準備若しくは公判期日における手続以外の刑事手続又は他の事件の刑事手続において第百五十七条の四第一項に規定する万法によりされた証人の尋問及び供述並びにその状況を記録した記録媒体がその一部とされた調書は、前条第一項の規定にかかわらず、証拠とすることができる。この場合において、裁判所は、その調書を取り調べた後、訴訟関係人に対し、その供述者を証人として尋問する機会を与えなければならない。 (新設)
[2] 前項の規定により調書を取り調べる場合においては、第三百五条第三項ただし書の規定は、適用しない。
[3] 第一項の規定により取り調べられた調書に記録された証人の供述は、第二百九十五条第一項前段並びに前条第一項第一号及び第二号の適用については、被告事件の公判期日においてされたものとみなす。

改正後 改正前
第三百二十三条 前三条に掲げる書面以外の書面は、 次に掲げるものに限り、これを証拠とすることができる。

一 戸籍謄本、公正証書謄本その他公務員(外国の公務員を含む。)がその職務上証明することができる事実についてその公務員の作成した書面

二 商業帳簿、航海日誌その他業務の通常の過程において作成された書面

三 前二号に掲げるものの外特に信用すべき情況の下に作成された書面
第三百二十三条  前二条に掲げる書面以外の書面は、 左のものに限り、これを証拠とすることができる。
(同上)

改正後 改正前
第三百二十五条 裁判所は、 第三百二十一条から前条までの規定により証拠とすることができる書面又は 供述であつても、あらかじめ、その書面に記載された供述又は公判準備若しくは公判期日における供述の内容となつた他の者の供述が任意にされたものかどうかを調査した後でなければ、これを証拠とすることができない。 第三百二十五条 裁判所は、 前四条の規定により証拠とすることができる書面又は供述であつても、あらかじめ、その書面に記載された供述又は公判準備若しくは公判期日における供述の内容となつた他の者の供述が任意にされたものかどうかを調査した後でなければ、これを証拠とすることができない。

【二】 検察審査会法(昭和23年法律第147号)
改正後 改正前
第二条 [1] (略)
[2] 検察審査会は、告訴若しくは告発をした者、請求を待つて受理すべき事件についての請求をした者又は犯罪により害を 被つた者(犯罪により害を被つた者か死亡した場合においては、その配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹)の申立てがあるときは、前項第
第二条 [1] (略)
[2] 検察審査会は、告訴若しくは告発をした者、請求を待つて受理すべき事件についての請求をした者又は犯罪により害を 被つた者の申立があるときは、前項第一号の審査を行わなければならない。
[3] (略)
第三十条  第二条第二項に掲げる者は、検察官の公訴を提起しない処分に不服があるときは、その検察官の属する検察庁の所在地を管轄する検察審査会にその処分の当否の審査の 申立てをすることができる。 ただし、裁判所法第十六条第四号に規定する事件並びに私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の規定に違反する罪に係る事件については、この限りでない。
[3] (略)
第三十条  告訴若しくは告発をした者、請求を待つて受理すべき事件についての請求をした者又は犯罪により害を被つた者は、検察官の公訴を提起しない処分に不服があるときは、その検察官の属する検察庁の所在地を管轄する検察審査会にその処分の当否の審査の 申立をすることができる。 但し、裁判所法第十六条第四号に規定する事件並びに私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の規定に違反する罪に係る事件については、この限りでない。


(2)犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律
第一条(目的)
この法律は、犯罪により害を被った者(以下「被害者」という。)及びその遺族がその被害に係る刑事事件の審理の状況及び内容について深い関心を有するとともに、これらの者の受けた身体的、財産的被害その他の被害の回復には困難を伴う場合があることにかんがみ、刑事手続に付随するものとして、被害者及びその遺族の心情を尊重し、かつその被害の回復に資するための措置を定め、もってその保護を図ることを目的とする

第二条(公判手続の傍聴)
刑事被告事件の係属する裁判所の裁判長は、当該被告事件の被害者等(被害者又は被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹をいう。以下同じ。)又は当該被害者の法定代理人から、当該被告事件の公判手続の傍聴の申出があるときは、傍聴席及び傍聴を希望する者の数その他の事情を考慮しつつ、申出をした者が傍聴できるよう配慮しなければならない。

第三条(公判記録の閲覧及び謄写)
刑事被告事件の係属する裁判所は、第一回の公判期日後当該被告事件の終結までの間において、当該被告事件の被害者等若しくは当該被害者の法定代理人又はこれらの者から委託を受けた弁護士から、当該被告事件の訴訟記録の閲覧又は謄写の申出があるときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、当該被害者等の損害賠償請求権の行使のために必要があると認める場合その他正当な理由がある場合であって、犯罪の性質、審理の状況その他の事情を考慮して相当と認めるときは、申出をした者にその閲覧又は謄写をさせることができる。

[2] 裁判所は、前項の規定により謄写をさせる場合において、謄写した訴訟記録の使用目的を制限し、その他適当と認める条件を付することができる。

[3] 第一項の規定により訴訟記録を閲覧し又は謄写した者は、閲覧又は謄写により知り得た事項を用いるに当たり、不当に関係人の名誉若しくは生活の平隠を害し、又は捜査若しくは公判に支障を生じさせることのないよう注意しなければならない。

第四条(民事上の争いについての刑事訴訟手続における和解)
刑事被告事件の被告人と被害者等は、両者の間における民事上の争い(当該被告事件に係る被害についての争いを含む場合に限る。)について合意が成立した場合には、当該被告事件の係属する第一審裁判所又は控訴裁判所に対し、共同して当該合意の公判調書への記載を求める申立てをすることができる。

[2] 前項の合意が被告人の被害者等に対する金銭の支払を内容とする場合において、被告人以外の者が被害者等に対し当該債務について保証する旨又は連帯して責任を負う旨を約したときは、その者も、同項の申立てとともに、被告人及び被害者等を共同してその旨の公判調書への記載を求める申立てをすることができる。

[3] 前二項の規定による申立ては、弁論の終結までに、公判期日に出頭し、当該申立てに係る合意及びその合意がされた民事上の争いの目的である権利を特定するに足りる事実を記載した書面を提出してしなければならない。

[4] 第一項又は第二項の規定による申立てに係る合意を公判調書に記載したときは、その記載は、裁判上の和解と同一の効力を有する。

第五条(和解記録)
前条第一項若しくは第二項の規定による申立てに基づき公判調書に記載された合意をした者又は利害関係を疎明した第三者は、第三条及び刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第四十九条の規定にかかわらず、裁判所書記官に対し、当該公判調書(当該合意及びその合意がされた民上の争いの目的である権利を特定するに足りる事実が記載された部分に限る。)、当該申立てに係る前条第三項の書面その他の当該合意に関する記録(以下「和解記録」という。)の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は和解に関する事項の証明書の交付を請求することができる。ただし、和解記録の閲覧及び謄写の請求は、和解記録の保存又は裁判所の執務に支障があるときは、することができない。

[2] 前項に規定する和解記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は和解に関する事項の証明書の父付の請求に関する裁判所書記官の処分に対する異議の申立てについては民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第百二十一条の例により、和解記録についての秘密保護のための閲覧等の制限の手続については同法第九十二条の例による。

[3] 和解記録は、刑事被告事件の終結後は、当該被告事件の第一審裁判所において保管するものとする。

第六条(民事訴訟法の準用)
前二条に規定する民事上の争いについての刑事訴訟手続における和解に関する手続については、その性質に反しない限り、民事訴訟法第一編第三章第一節(選定当事者及び特別代理人に関する規定を除く。)及び第四節(第六十条を除く。)の規定を準用する。

第七条(執行文付与の訴え等の管轄の特則)
第四条に規定する民事上の争いについての刑事訴訟手続における和解に係る執行文付与の訴え、執行文付与に対する異議の訴え及び請求異議の訴えは、民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第三十三条第二項(同法第三十四条第三項及び第三十五条第三項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、当該被告事件の第一審裁判所(第一審裁判所が簡易裁判所である場合において、その和解に係る請求が簡易裁判所の管轄に属しないものであるときは、その簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所)の管轄に専属する。

第八条(手数料)
第三条第一項の規定による訴訟記録の閲覧又は謄写の手数料及び第五条第一項の規定による和解記録の閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付又は和解に関する事項の証明書の交付の手数料については、その性質に反しない限り、民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)第七条から第十条まで及び別表第二の一から三までの項の規定(別表第二の一の項上欄中「(事件の係属中に当事者等が請求するものを除く。)」とある部分を除く。)を準用する。

[2] 第四条及び第五条に規定する民事上の争いについての刑事訴訟手続における和解に関する手続の手数料については、民事訴訟法第二百七十五条の規定による訴え提起前の和解の例による。

第九条(最高裁判所規則)
この法律に定めるもののほか、公判記録の閲覧及び謄写並びに民事上の争いについての刑事訴訟手続における和解について必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

附 則
[1](施行期日) この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

[2](刑事確定訴訟記録法の一部改正) 刑事確定訴訟記録法(昭和六十二年法律第六十四号)の一部を次のように改正する。

第二条第一項中「記録」の下に「(犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律(平成十二年法律第七十五号)第五条第一項に規定する和解記録については、その謄本)」を加える。


(3)刑事確定訴訟記録法(昭和62年法律第64号)
      (赤字部分は改正部分)
改正後 改正前
第三百二十五条 裁判所は、 第二条(訴訟の記録の保管) 刑事被告事件に係る訴訟の記録 (犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律(平成十二年法律第七十五号)第五条第一項に規定する和解記録については、その謄本)は、訴訟終結後は、当該被告事件について第一審の裁判をした裁判所に対応する検察庁の検察官(以下「保管検察官」という。)が保管するものとする。 第三百二十五条 裁判所は、 第二条(訴訟の記録の保管) 刑事被告事件に係る訴訟の記録は、訴訟終結後は、当該被告事件について第一審の裁判をした裁判所に対応する検察庁の検察官(以下「保管検察官」という。)が保管するものとする。
2 前項の規定により保管検察官が保管する記録(以下「保管記録」という。)の保管期間は、別表の上欄に掲げる保管記録の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に定めるところによる。 (同上)
3 保管検察官は、必要があると認めるときは、保管期間を延長することができる。 (同上)

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