TOPICS(ニューズ・レター)


会員の声
渡辺 保 (2006.12.20)

私の愛娘(22歳)は2000年10月16日の夜、駅から自宅まで歩いて帰る途中、首を包丁で刺され殺害されました。犯人がみつからず、気持ちの整理がつかないまま悶々と日々を過ごしていました。

3年が過ぎた頃、近所に住む娘の中学時代の同級生だった男が自首してきました。私たちは犯人がこんなに近くにいたことに驚き、大きなショックを受けました。

裁判では、被告は自首したにも関わらず、法廷内で無罪を主張し、都合の悪いことや不利なことには、黙秘権を行使し、嘘のつき放題でした。

特に、1審判決時に被告が私たち家族に向かって「お前が迎えに行かなかったから、娘は死んだんだよ」と大声をあげて退室していったことは私たちに大きな傷を残しました。

一方、被害者の遺族で、事件の当事者の私たちは、控訴審を含めた全28回の公判を法廷外の傍聴席でただ黙って聞いているだけでした。意見や思いを表す場はほとんどありませんでした。

去る8月1日、一緒に闘ってきた妻が踏切事故で亡くなりました。妻は事件後、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断され、正常な判断ができなくなることがときおりありました。新聞等では自殺と報道されましたが、私は絶対に自殺ではないと思っています。

8月29日、東京高裁で1審の「無期懲役」の判決を支持した判決が言い渡されました。被告は判決を不服とし、最高裁に上告しました。娘だけでなく妻をも死に追いやってなお、罪を認めず、反省のかけらもないのです。

犯人に殺された娘だけでなく、まわりの人間もみな被害者なのです。長女も妻も亡くなり、次女と私が残されましたが、これからも二人で力を合わせて一生懸命生きていきたいと思います。

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