TOPICS (ニューズ・レター)


少年法の改正
  (2008.4.4)
弁護士 高橋 正人
「賛成13、反対3」。

法務省法制審議会で1月25日、一定の重大事件に限ってではあるが、少年事件の被害者に裁判の傍聴を認める要綱案が採択された。少年犯罪被害者の想いの第一歩が、ようやく踏み出された格好だ。

 法務大臣は昨年12月、法制審に、「少年事件の被害者に裁判の傍聴を認めるべきか否か、記録を見たりコピーしたりすることを原則として認めるべきか否か、裁判官や調査官に被害を受けた実情や苦しみを述べることができる被害者の範囲を配偶者にまで拡大すべきか否か」などの4点について検討するよう指示した。

これを受けて法制審少年法(犯罪被害者関係)部会は、12月から本年1月にかけて計4回、討論を重ねた。岡村代表幹事も委員に選ばれ、私も全回、随行で関与させて頂いた。

 最終回での「発言」である。

ある司法関係者が、「触法少年の事件(14歳未満の少年が加害者の事件)の被害者については傍聴の対象から特に外すべきと強く思います。触法少年による殺人事件は年間数件しかないので、被害者にどれだけ傍聴への要望があるのか、疑わしいからです」。

一瞬、場内に、「えっ?」という沈黙の言葉が漂った。
 その後、ある委員がすぐに噛みついた。

「被害者の個人の尊厳を尊重していくという前提でここは議論すべきだ。かけがえのない人の生命を奪われた人に対して、あなたの事件は年間の発生件数が少ないから傍聴すべきでないというのはおかしい」。

岡村代表幹事も厳しい口調で反論した。
「13歳に殺されようが、15歳で殺されようが、被害者の親の気持ちは変わらない。13歳に殺されたから記録だけ見れば良いじゃないかというのは納得できない。
加害少年のことだけを考えれば良いという時代は終わったはずだ」。

最初に出た「発言」は、その後、委員の間に広がることはなかった。

 加害者が成人だろうが、14歳以上の少年だろうが、あるいは触法少年だろうが、被害を受けた人の苦しみ、悔しさは何ら変わらない。

だからこそ、基本法は、被害者の視点にたった施策を講じるべきだと書いてある。
基本法は、当時の与野党、全ての政党が一致して成立した議員立法だ。

少年法第1条には、その目的として、加害少年の健全育成だけが謳われている。基本法に習って、少年法の目的にも被害者の視点を加えるべきだというのが、今や、国民の総意だと思う。
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