VOICE -1- (ニューズ・レター)


3つの検討会の様子と被害者にとってのあるべき姿について
弁護士  高橋 正人 (2006.8.10)

昨年12月27日、258の施策からなる犯罪被害者等「基本計画」が閣議決定されたことは既に報告させて頂いた通りです。

本年5月からは、その258の基本計画のうち、被害者の経済的補償、被害者支援を連携して効率よく行うこと、民間団体を育てること、の3つの施策について、その内容をさらに深めていくため

  1. 「経済的支援に関する検討会」
  2. 「支援のための連携に関する検討会」
  3. 「民間団体への援助に関する検討会」
の3つの小検討会が立ち上がりました。  
そして、これ以外の施策、例えば訴訟参加や附帯私訴などについては、法務省などが今、具体化を進めているところです。

上記の
 【1】には、あすの会顧問弁護団代表の白井孝一弁護士が、
 【2】には、幹事の本村洋氏が、
 【3】には幹事の林良平氏が、それぞれ構成員をつとめております。

8月上旬現在で、【1】については6回、【2】と【3】については5回、それぞれ会議が終了しました。
今後、あと1年半くらいは議論が続けられる予定です。

今までの5回ないし6回の議論の進め方についてですが(私は全てに随行員として出席)、主に既存の制度の説明に終始しているため、その進め方に、あすの会の上記構成員や他の多くの構成員から疑問の声があがっています。

犯罪被害者が既存の制度に不満だからこそ、一昨年、犯罪被害者等「基本法」が制定され、それに基づいて、昨年、白熱した議論のもと犯罪被害者等「基本計画」が閣議決定されたのですから、既存の制度の説明については簡単に済ませ、1日も早く、今の制度の問題点を指摘して、被害者の視点にたったあるべき姿についての議論を始めて欲しいとの批判です。

ところで、今後のあるべき姿については、あすの会でもいくつかの提案をしてきました。
例えば、犯給法は、お見舞い金制度ですから(死亡事案でもせいぜい数百万円程度しか支給されないのが実態です。交通事故であれば、一般的には、自賠責で3000万円、任意保険で6000万〜8000万円は支給されます。)、この制度をいくら拡充しても、やはりお見舞い金はお見舞い金であって、将来の逸失利益などの全ての損害を賠償するには到底足りません。

そこで、あすの会では新たな被害者補償制度を構築して、金額を大幅に増やすことを提案して参りました。

さらに、犯給法は、被害直後の「早期」だけを念頭においた立ち直り支援がその立法趣旨ですから、例えば、重度の後遺障害を被り、今後、多額の介護費用や生活費が一生涯かかる被害者に対して、将来にわたって継続的に補償金を年金で支払っていくというシステムにはなじみません。

そこで、あすの会では、重度の後遺障害の人に対しては一時金の他に補償金を年金形式で途切れなく支払っていき、将来にわたって不安を感じることなく安心して生活できるようなシステムの構築を提案してきました。

これも、犯給法をあえて廃止し、あらたな被害者補償制度の創設を呼びかけてきた大きな理由の一つです(犯給法の廃止・新補償制度の創設については日弁連も同意見の人が多い)。

白井弁護士も【1】の検討会では今後、そのような意見を強く訴えていく予定です。
他方、【2】の検討会では、本村氏が被害者手帳の制度を提案したいと言っています。

これは、どの役所に行っても、あるいは病院に行っても、おなじことを何度も説明しなくて済むように(何度も説明すること自体、被害者にとっては大きな苦痛です。)、事案をどこかに登録しておき、被害者手帳を見せさえすれば、直ちに自分の事案が担当者に理解されているようなシステムです。

また、【3】の検討会では、林氏が、被害者支援のあり方について、警察が主導的になるのではなく、被害者自身が主体となって被害者の目線で支援していくべきであり、そのような観点から民間団体への援助のあり方も考えるべきだ、と主張していくことになっています。

白井弁護士も、本村氏も、林氏も、皆、「被害者の視点」にたった新たな制度の提案を考えています。これが本来のあるべき姿ではないでしょうか。
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