VOICE -1- (ニューズ・レター)


犯罪被害者のための裁判制度が出揃った
代表幹事 岡村 勲  

 ねじれ国会でひやひやとしたが、6月11日、参議院で可決され、少年法の改正が成立した。改正の中心は、審判の傍聴だった。


 犯罪被害者や遺族が「真実を知りたい」「直接加害少年の顔を見たい」というのは当然の願いだが、傍聴すると加害少年を萎縮させるなど、加害少年の健全育成という少年法の理念に反するという反対論が根強くあった。

加害少年の健全育成を損なわないよう、衆議院で一部修正、参議院での付帯決議が付けられたが、一部修正には、裁判所の犯罪被害者等に対する説明義務が設けられるなど、被害者に有利な修正もあった。

2000年当時、加害少年の名前を聞きに来た遺族に対して、家庭裁判所が「ここは加害者を立ち直らさせるところで、被害者の来るところではない」といって追い返していたことを思うと、隔世の感がする。しかし、まだ問題は残されている。

 傍聴対象事件の範囲は狭く、故意の犯罪による死傷事件、業務上過失致死傷事件で、被害者が死亡または生命に重大な危険を生じさせたときに限られ、両足切断や、すべての運動神経麻痺の傷害があっても、生命に危険がないときは傍聴することができない。 運用を見つつ、将来、傍聴の範囲の拡大を図らなければならない。

 我々は少年法の理念を否定するものではない。傍聴に当たって審判を妨害するようなことがあってはならないことはいうまでもないが、傍聴を許している国で、少年が萎縮したという例は聞いていない。不相当な傍聴制限がなされないよう、願っている。 その他、記録閲覧の原則化、意見陳述者の範囲の拡大なども定められた。

 審判傍聴により、当会が主張してきた「犯罪被害者のための刑事司法」「刑事裁判への参加」「損害賠償命令」「国選(選定)被害者弁護士制度」など、刑事司法の枠外に置かれてきた犯罪被害者の司法関与のインフラは、一応出揃ったことになる。

しかし、その実施はこれからだ。日弁連をはじめ、反対していた人たちも、犯罪被害者等基本法の精神が生かされるよう、努力していただきたい。

加害少年は、国家によって保護育成されるが、ショックや障害で立ち直れない被害少年、その兄弟姉妹の保護育成を図る法律はない。すべて家族に任せきりである。

加害少年が国費により少年院等で教育されるのと比べてあまりに不公平だ。当会は、これから被害少年保護法の制定に向けて取り組む所存である。

 さらに故意に人を殺しながら、25年間逃げ回れば、共犯がまだ刑務所にいるときでも、起訴されないことになる。

これを公訴時効というが、殺人罪に対して公訴時効のない国も相当ある。公訴時効制度の廃止に向けての取り組みも考えなければならないと考える。
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