VOICE (ニューズ・レター)


自民党の憲法改正案に犯罪被害者の権利が記載されました
弁護士 京野 哲也 (2005.12.12)

今の憲法では、様々な人権が保障されていますが、犯罪被害者の権利は1箇条もありませんでした。

 たしかに、国家権力の濫用をいかに防ぐかということを中心に近代の憲法が作られてきた歴史的な事情はありました。
 しかし、本来は、国家ではなく、犯罪者によって人権を害された者の権利も当然憲法において手厚く保障されなければなりません。

 そこで、あすの会では憲法を改正して犯罪被害者の権利を入れるように主張し続け、今年1月に行われた5周年大会においても決議しています。

最近になって、2005年10月28日、自由民主党の新憲法第二次案では、その第25条の3に『犯罪被害者は、その尊厳にふさわしい処遇を受ける権利を有する』という規定が入りました(11月22日付の「新憲法草案」でも同様です)。

 あすの会は、この自由民主党案を歓迎し、一日も早く、この通りの憲法改正が行われるように望むという談話を発表しています。
 平成16年12月に制定された犯罪被害者等基本法にも、「すべて犯罪被害者等は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有する。」という条文が設けられました。それ自体画期的な進歩でしたが、憲法の下にある法律のレベルではなく、憲法自体に書かれると、基本権として一段と強いものになりますから、被害者の権利利益の保護充実にとって大きな前進となるでしょう。

そもそも、憲法は国のあり方や国民の基本的な権利を定めるものですから、犯罪被害者の権利が憲法に書かれていない方がおかしいのです。こんな当たり前のことは、誰に教えられなくても分かることなのに、むしろ法律に関わる者が固定観念に囚われて犯罪被害者の権利の保障を難しくしてきたのではないでしょうか。

近代憲法の中心課題は「国家からの自由」だったかもしれませんが、現代や未来の憲法は、人が幸福に暮らすために大切な権利を守ることを第一に考えるべきであって、犯罪被害者を置き忘れたような議論は時代遅れと言わなければなりません。

 私個人の意見としては、憲法の中に、犯罪被害者の尊厳を保障すべきことを宣言したうえで、何人も安全に生活する権利を有すること、犯罪被害者は、刑事事件の情報を知る権利、訴訟手続に参加する権利、ならびに国に被害の補償を求める権利を有することを明記するという私案を考えています。これらの権利は、憲法上でもきちんと保障されるべき犯罪被害者の基本的な権利だと考えられるからです。

 憲法改正は、いろいろ難しい手続きがあるので、すぐには実現しないかもしれませんが、政党が憲法改正案に被害者の権利を入れることは大きな変化であり、進歩であると思います。  改正されるまでの間であっても、犯罪被害者の人権は、現行憲法13条に規定されている「個人の尊厳の保障及び幸福追求権」の一環として保障されています。犯罪被害者等基本法もあります。
しかし、声をあげ続けていないと、今までの制度はなかなか変わりません。

犯罪被害者等基本法に基づき、犯罪被害者の権利をより具体的に保障するように、全ての場面において訴えていく必要があるかと思います。

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