VOICE (ニューズ・レター)


裁判員制度と被害者参加
代表幹事  岡村 勲 

 昨年12月1日以後の起訴事件について、被害者参加、損害賠償命令の制度が始まったが、被害者が参加人として現実に法廷で姿を現したのは、今年になってからである。


 私は、1月23日に東京地裁で行われた、二つの被害者参加裁判を傍聴した。一つは、通行人から傷害を受けた被害者本人の事件、もう一つは交通事件の遺族が参加人となった事件であった。

時間の都合上前者は途中までしか傍聴できなかったが、後者は判決期日まで傍聴することができた。その詳細は参加人弁護士であった村田弁護士の書かれたものに譲る。

 法廷の雰囲気も一変した。裁判官も、検察官も、そして被告人弁護人も、被害者に対して礼を尽くすという、当然といえば当然であるが、今までに見られない風景で心地よかった。

 ところで、5月21日から、裁判員制度が始まる。

 死刑、無期などの重罪事件について、抽選で当たった6人の一般国民が、裁判官3人と対等の立場で裁判を行うのである(被告人が認めている事件など例外的に裁判員4人、裁判官1人ということがあるが)。

 日弁連は、被告人の弁護人が、いかにして裁判員に影響を与えるかを一所懸命練習させている。他方、被害者が裁判員に影響を及ぼすことは有害だといって参加に反対したが、まことに得手勝手な主張である。

被害者も遠慮することなく、ルールに従って、自分の悔しい思いを語り、被告人に質問し、論告や 求刑で意見を述べるべきである。裁判は、被害を受けた被害者のためにもあることを忘れてはならない。

 参加人は、弁護士を付けることができる。しかし、弁護士が被害者に代わって質問したり、意見を述べたりするよりも、被害者自身が、自分で、自分の言葉で言う方が、遙かに人の心を打つ。

弁護士は、事件と関係のない、被害も受けていない人なのだから、被害者の直接の言葉には及ばない。弁護士が黒子に徹して参加人を正面に立て、参加人及び遺族の間で役割を分担して行った村田弁護士の弁護活動は裁判官の心証に大きく影響したと思われた。

 これに反して、参加人の弁護士が被告人に質問し、論告求刑する法廷も見たが、正直言って検察官と同じような質問、論告求刑で、何の感動も受けなかった。裁判員も、被害者の口からその思いを聞きたいだろう。

弁護士と十分相談し、指導を受けながら、自分の口で述べて頂きたい。もちろん性犯罪被害者などは、自分で質問したくない場合もあるだろう。

緊張して意見を述べられないときもあるかもしれない。そういうときは弁護士に代わってもらわなければならないことは言うまでもない。

 弁護士が付いた参加事件は、弁護士主導で進めるべきだという意見を述べる人もいるようだが、それは間違いである。

国費で弁護士を付けることを定めた法律が、被告人の弁護士のときは選任、参加人の弁護士のときは選定といって区別しているのは、参加人の弁護士には、被告人の弁護士のように被告人の意思をはなれてでも行為できる固有権がないからである。
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