【 弁護士有志声明:2007.3.29 】
平成19年3月29日、犯罪被害者等の権利を守る弁護士の有志一同が、被害者参加制度と損害賠償命令制度が盛り込まれた刑事訴訟法の改正案について賛成するとの声明文を発表されました。
賛同した個々の弁護士は全国から集まり、その数は366名にも達しました。

記者会見は、第一東京弁護士会犯罪被害者保護に関する委員会委員長の大澤孝征弁護士が代表で行い、それ以外にも東京弁護士会犯罪被害者支援委員会委員長、第二東京弁護士会犯罪被害者支援センター運営委員会委員長や横浜弁護士会の関係者も会見され、熱気に包まれていました。

日弁連は、同改正案に反対していますが、弁護士会の中も決して一枚岩でないことが明らかになったと言えるでしょう。

大澤弁護士によると、

『多くの弁護士が法案に賛成しており、日弁連の執行部はそのことに耳を傾けて欲しい、26日の呼びかけから3日間でこれだけの人が集まったのだから、もう少し時間があればもっと多くの弁護士が集まったはずだ』

とのことでした。
声明文は以下のとおりです。

平成19年3月29日
声  明
      
 犯罪被害者等の権利を守る弁護士有志の会・一同
 

私たちは、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に賛成します。 理 由
 犯罪被害者等は、事件の最大の利害関係人でありながら刑事裁判手続きからは排除され、また、損害賠償請求訴訟を提起するには、多大の費用、労力、時間を要しました。

 平成16年12月に成立した犯罪被害者等基本法は、犯罪被害者等の刑事手続きへの関与の拡充(18条)及び損害賠償請求と刑事手続きとの有機的関連(12条)を図って犯罪被害者等の権利の保護を図ることにしました。

これを受けて策定されたのが、今国会に上程された被害者参加制度と損害賠償命令制度等を含む上記刑事訴訟法等の一部を改正する法律案です。

 同法律案の被害者参加制度では、先進国との潮流からは遅れているとはいえ、被害者が、法廷のなかで、検察官と密接なコミュニケーションをとりつつ、厳格な要件のもとに、被告人に対する質問、情状証人の供述の証明力を争うための尋問、事実又は法律の適用についての意見陳述(論告・求刑)などの権限が認められます。

これは、「刑事司法は犯罪被害者等のためにもある」とする犯罪被害者等基本計画の精神にも合致し、犯罪被害者等の尊厳を尊重するものであります。

被害者参加によって、被告人の権利を害するとの反対論は、参加人の権限が極めて限定されていることから理由がなく、参加は、被害者の負担増大をきたすという反対論は、参加が強制でないことを無視したもので、全く根拠がありません。

 また、同法律案の損害賠償命令制度は、一定の故意犯について、刑事判決を言渡した裁判官が、既に取り調べた立証結果を利用して短期間の審理で損害の賠償を命ずる制度で、被害者の負担は大幅に軽減されることになります。

被告人からの異議申し立てにより、通常の民事裁判所に移行することとされており、被告人の権利は侵害されません。

 その他、性犯罪等の被害者に関する情報の保護、公判記録の閲覧謄写の範囲の拡大も同法律案には含まれています。

よって、私たち弁護士は、上記法律案に賛同する次第です。

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