【法律案の国会可決に寄せて】   2007.6.20
全国犯罪被害者の会(あすの会) 岡村 勲 代表幹事
(2007年6月20日)

 2007年(平成19年)6月20日、「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律」が国会で可決されました。この法律は、「あすの会」が長年にわたって念願してきた犯罪被害者の権利確立に向けての大きな一歩というべきものです。同法律案の可決を受け、全国犯罪被害者の会(あすの会)岡村勲代表幹事は所感を発表いたしました。以下に全文をご紹介いたします。


本日、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案が国会で可決されました。

 この法律は、あすの会が長年主張してきた、犯罪被害者のための刑事司法、訴訟参加、附帯私訴、性犯罪被害者等の法廷での保護、公判記録の閲覧謄写範囲の拡大を認めるもので、まことに喜びに堪えません。

 被害者参加は、あすの会案のように、検察官、被害者、被告人の三当事者構造ではありませんが、被害者等が、被害者参加人という地位を得て、法廷で検察官の近くに座り、限定的ではありますが、被告人や情状証人に質問し、最終意見陳述もできるようになりました。

 刑事裁判から排除されることによって被ってきた犯罪被害者等の苦しみと司法不信は、相当に軽減されると評価しております。

 損害賠償命令は、重大犯罪の故意犯に限られてはいますが、申立費用も低額で、刑事判決言渡しに引き続いて、同一の裁判所が短期間の審理で損害賠償額を決定し、仮執行宣言も付けられるので、現行の民事訴訟に比べ、犯罪被害者等の負担は大きく軽減されることになります。

 被害者参加を推進してきた私達は、この制度の適正な運用に責任を持たなければならないと自覚しており、制度の内容と適切な対応の周知に努める所存です。

 犯罪被害者等基本法から始まる被害者の尊厳を守る一連の改革は、小泉前総理、安倍総理の強いリーダーシップのもと、政治主導で行われましたが、特に今回の法律は、与党の強い意志により、厳しい審議日程のなか、今国会での成立となりました。厚くお礼申し上げます。

 顧みますと、あすの会は、2000年1月23日、「犯罪被害者の権利と被害回復制度の確立」を求めて発足しました。

以来、外国への調査団の派遣、署名活動、地方自治体に対する意見書要請などさまざまな活動を行い、犯罪被害者等基本法の制定、犯罪被害者等基本計画の策定、法制審議会での審議にも積極的に参加し、犯罪被害者等のための制度改革に努力して参りました。

司法をはじめ、国、社会から見捨てられていた犯罪被害者等が、尊厳を尊重される権利を持つに至ったことを思うと、感慨無量なるものがあります。

 あすの会の会員の多くは、すでに裁判も終わり、新しい法制度を利用することはできません。しかし私達は、今後生ずるであろう犯罪被害者等に、私達と同じような苦しみを味わって欲しくないとの一念で、運動してきました。

 これからも、犯罪被害者等に対する公費による弁護士代理人の選任をはじめ、残された多くの課題に取り組んで行く所存です。

 また、今日まで運動が継続できたのは、国民の皆様からの温かいご支援があったからでございます。心から感謝申し上げますとともに、これからも同様のご指導、ご支援をお願い申し上げます。    2007年6月20日
 
全国犯罪被害者の会(あすの会) 代表幹事  岡村 勲  
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