刑法は、受刑者に改悛(=前非を改めて心をいれかえること 広辞苑第5版より)がみられるときは、刑期の3分の1(無期刑のときは10年)を経過した後、仮に出獄を許すことができるとしています。このように、受刑者が刑期の終了前に社会へ戻ることを「仮出獄」といいます。
仮出獄中に問題を起こさず刑期の満了日を迎えると、受刑者は、刑を終えたことになります。なお、少年院にも同様の「仮退院」という制度がありますが、仮出獄と異なり、仮退院には時期的な制限がありません。仮出獄、仮退院などを総称して「仮釈放」と呼びます。
仮出獄の具体的な手続は、まず、刑務所内部の審査を経て刑務所長から地方更生保護委員会に対して仮出獄申請が行われます。そして、地方更生保護委員会が受刑者と面接し、保護観察官による調査の結果も参考にして仮出獄の許可・不許可、仮出獄指定日などを決定します。
これらの調査、審査を通じて検討されるのは、受刑者の刑務所内での態度、被害弁償の状況、釈放後の生活設計、帰住予定地(身許引受人のいる場所)の環境などです。
受刑者が刑務所を出る理由には、刑期の終了、死亡、恩赦、仮出獄があげられますが、仮出獄によって出る者が、出所者全体の56.1%(平成14年度統計より。以下同じ。)を占めています。初めて服役したという受刑者だけでみると、仮出獄率は75.2%にもなります。
仮出獄の時期は、平均すると刑期の81%を終えた頃ですが、初めて服役した受刑者だけでみると少し早まり、刑期の77%を終えた時期になります。
被害者が、加害者の仮出獄指定日や指定帰住地を知らせてもらえるよう、平成13年3月1日より、「被害者等通知制度」が改められました。この制度を利用して通知を受けるためには、あらかじめ検察官に希望を伝えておく必要があります。