- 犯罪被害者は、証拠品ではなく、刑事手続きの当事者であり、刑事司法は、犯罪被害者のためにも存在する制度でなければならない。
- 犯罪被害者には、刑事手続きに参加する当然の権利があり、そのための制度を創設すべきである。
- 刑事手続きの中で、民事上の損害回復ができる制度を確立すべきである。
理 由
刑事司法は、国家および社会の秩序維持という公益目的のために存在し、犯罪被害者およびその遺族(被害者等という)の利益のためにあるのではないとされ、被害者等は刑事司法上何の権利も与えられず、刑事手続きに参加することができない。
捜査、公訴提起、公判審理には被害者等の協力は欠かせず、被害者等も悲嘆のなかで協力するが、これは捜査等が被害者等の利益のために行動してくれると思うからで、社会秩序を維持しようとの精神から出るのではない。起訴状、冒頭陳述書、論告要旨、判決などは送られてこず、法廷では、傍聴席で加害者の関係者とともに座らされ、加害者に対して何の質問も反論もできず悔しい思いをさせられる。
そのとき、刑事司法は被害者のためにあるのではなかったと気づき、単に『証拠品』として利用されているだけだったことを知り、司法不信に陥るのである。被害者等は、人間としての尊厳を侵された直接の当事者として、刑事事件の推移に大きな関心を抱くことは当然である。被害者等が刑事手続きの中に参加し、証人や被告人に 直接質問し反論を行い、真実を知り、適正な処罰を願うことは、尊厳の回復のために欠かせない。
また、被害者等が加害者に対して損害回復のため民事訴訟を提起することは、多大の時間、労力、費用を要し、大きな負担である。刑事裁判の手続きの中で、民事の請求権を行使することができれば(附帯私訴)、被害者等の負担も少なくなるだけでなく、司法全体からいっても経済的である。よって、刑事司法が、被害者等のために存在すべきであるという理念を明らかにし、訴訟参加および附帯私訴の制度の創設を強く求め、上記1、2、3のとおり決議する。
2002年12月8日
全国犯罪被害者の会(あすの会)
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