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決 議 |
--- 2005.1.23 --- |
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1.憲法の改正 人が安全に生活する権利は基本的人権の一内容であり、犯罪による被害によってこれが侵害されたときには、その被害から回復する権利もまた基本的人権の内容である。しかし、日本国憲法では犯罪被害者の権利について明文の規定がない。 そこで、犯罪被害者の基本的人権について、憲法に明文の規定を設けることを求める。 |
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2.犯罪被害者のための刑事司法の実現 我が国の刑事司法は、公の秩序維持のためにあって、犯罪被害者のために存在するのではないとされ、犯罪被害者を刑事司法への協力者、証拠品としてのみ扱っている。 われわれは、刑事司法は公益のためばかりではなく、事件の当事者である犯罪被害者のためにも存在しなければならないと主張してきたが、犯罪被害者等基本法がこれに触れていないのは、遺憾である。 犯罪被害者のための刑事司法の実現を強く求める。 |
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3.訴訟参加制度の導入 犯罪被害者等基本法は、犯罪被害者が刑事に関する手続きへの参加の機会を拡充するための制度整備を講ずるものとしている。 刑事手続きへの犯罪被害者の参加制度は、単に法廷に着席している在廷権とか、被告人への質問権のみに限るものではなく、被害者が自らの権限で尊厳を回復することが可能となるような手段とする必要がある。 そこで、ドイツ等の国の制度と同様、捜査公判書類の謄写閲覧請求権、証拠提出権、証人尋問権、被告人に対する質問権、裁判の結果に対する不服申立権、国の費用で弁護士を選任することができる権利などを含む、訴訟参加制度の導入を求める。 |
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4.附帯私訴制度の導入 犯罪被害者が加害者から被害の回復を求めるとき、現行制度のもとでは、刑事裁判手続きとは別に民事の損害賠償の請求をしなければならないことになっている。これは犯罪被害者に多大の労力と費用、精神的苦痛を与えるものである。 犯罪被害者等基本法が、損害賠償の請求についてその被害にかかる刑事に関する手続きとの有機的連携を図るための制度の拡充等必要な措置を講ずるものと定めたのは前進である。 そこで、刑事裁判手続きのなかで、民事の損害賠償の手続きも行われる附帯私訴制度の導入を求める。 |
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5.犯罪被害者等補償制度の新設 犯罪によって深刻な被害を受けている被害者や遺族の多くは、収入を失ったり、長年にわたる療養費を強いられるなど、将来の生活の見通しもつかない悲惨な状態におかれたままである。現在の犯罪被害者給付制度による給付金の金額はこのような犯罪被害者にとって極めて不十分である。 そこで、医療費や介護費、車いす等の必要経費の無料化とともに、死亡、長期療養、後遺障害のある被害者に対しては、自動車損害賠償補償法の政府事業程度の一時金を給付し、さらに、被害が重大で、継続して生活を補償する必要のある被害者に対しては、新たに年金による補償制度を創設することを求める。 |
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6.犯罪被害者等基本法 昨年12月、犯罪被害者等基本法が制定され、犯罪被害者の権利は大きく前進した。 しかし、同法の基本施策に盛られた内容の具体化は、今後の基本計画の策定にかかっている。 基本計画の策定に当たっては、真に犯罪被害者の視点に立って行われるよう求める。 |
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7.犯罪被害者週間の創設 犯罪被害者は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有するものであるが、好奇と偏見のなかで社会的に孤立し、その権利は尊重されてこなかった。 これは、国民の犯罪被害者に対する理解が十分でなかったためである。 人は誰でも犯罪被害者になる可能性がある。犯罪被害者が安心して生活できる社会を創ることは、国民全体の責任である。 そこで、犯罪被害者に対する国民の意識を高め、犯罪被害者の尊厳と権利を尊重し、国民が、犯罪被害者の抱える様々な問題を自らの問題として考え、行動するために、犯罪被害者週間の創設を求める。 犯罪被害者運動の草分けである故市瀬朝一氏が、我が国で初めて犯罪被害者遺族の全国大会を開いた昭和42年6月4日を記念して、毎年6月の第1週を犯罪被害者週間とすることを提案する。 |
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