2008年6月25日
朝日新聞社
代表取締役社長 秋山耿太郎 様
全国犯罪被害者の会(あすの会)
代表幹事 岡 村 勲
【 抗議および質問 】
平成20年6月18日付け貴社夕刊に「永世死刑執行人 鳩山法相。「自信と責任」に胸を張り、2カ月間隔でゴーサイン出して新記録達成。またの名、死に神。」という素粒子欄記事(以下「本記事」という)を見て驚愕しました。
永世死刑執行人、死に神の正確な意味は分かりませんが、少なくとも良い意味では使われてはいません。本記事は、法務大臣だけでなく、死刑求刑した検察官、死刑判決した裁判官、執行に関与した関係者等すべてを侮辱するものと言わざるを得ません。
特に衝撃を受けたのは犯罪被害者遺族です。
確定死刑囚の一日も早い死刑執行を待ち望んできた犯罪被害者遺族は、法務大臣と同様に永世死刑執行人、死に神ということになってしまいます。
犯罪被害者遺族は、これまで数多くの二次被害,三次被害を受けてきましたが、今回ほど侮辱的で、感情を逆撫でされる苦痛を受けたのは初めてです。
また本記事は、犯罪被害者遺族が、死刑を望むことすら悪いことだというメッセージを国民に与えかねません。
死刑判決が確定した死刑囚に対して、法務大臣が原則として6ヶ月以内に死刑を命じなければならないことは、刑事訴訟法475条に定められており、鳩山法務大臣は、法律に従って粛々と死刑執行を命じたに過ぎないのです。
本来法治国家とは、法律が制定されるだけでなく、それが執行されてはじめて意味を持つものですが、法を執行する法務大臣を非難することは、法治国家を否定することにもなります。
本記事が掲載された後、多くの非難抗議を受けた貴社は、「鳩山氏や関係者を中傷する意図はなかった、法相のご苦労や被害者遺族の思いは、十分承知している」など弁明されましたが、本当に分かっておれば、このような侮辱的な言葉は使用できないはずです。
「風刺はつくづく難しいと思う」ともありましたが、死刑という厳粛な問題を風刺の対象にすることも、不穏当ではありませんか。
そこで、次のとおり公開の質問をいたしますので、1週間以内に全国犯罪被害者の会(あすの会)宛にご回答を頂きたく、お願いいたします。
【 質問事項 】
- 永世死刑執行人、死に神の意味を明らかにしてください。この言葉に、犯罪被害者は塗炭の苦しみを味あわされているのです。
- 本記事が、死刑を求める犯罪被害者遺族にどんな気持を起こさせるか考えなかったのですか。考えたとすれば、どうして本記事を書かれたのですか。
- 本記事後、貴社は「法務大臣や関係者を中傷する意図は全くありません」とのコメントを発表していますが、意図はどうであれ、「永世死刑執行人、またの名、死に神」との記載は、法務大臣に対する侮辱中傷になると思いませんか
- 6月21日の素粒子「それでも死刑執行の数の多さをチクリと刺したつもりです」とありますが、法務大臣の死刑執行の数がどうして問題になるのでしょうか。
以 上
|