公訴時効及び刑の時効の見直しを法制審議会に諮問することについてのコメント |
全国犯罪被害者の会(あすの会)代表幹事 岡村 勲
本日、千葉法務大臣は、凶悪重大犯罪の公訴時効および刑の時効の見直しについて、次回法制審議会に諮問する旨を発表された。
公訴時効制度は、犯罪者の逃げ得を許し反倫理的であるのみならず、犯罪被害者の苦しみ、怒りに時効がないことを考えれば、極めて不公正な制度であると言わなければならない。
当会は、かねてから凶悪重大犯罪の公訴時効の廃止および遡及適用を強く希望してきたが、法務省も、本年7月15日、時効制度に見直しの方向性を発表していた。
本月2日には、当会会員9名が千葉法務大臣及び加藤法務副大臣を訪問して早期の立法を要望し、その後来年1月23日(この日は当会設立記念日にあたる)に時効期間が満了となる重篤な傷害を受けた林祐子、その夫良平、次男大樹が時効の遡及適用を求める切々とした手紙を大臣、副大臣に提出していた。
本日の大臣のご決断を心から歓迎する。
法制審議会が、公訴時効期間との秒読みに焦燥する犯罪被害者の心情に思いを致し、速やかに犯罪被害者の望む方向で答申をされ、1日も早い法改正が行われるよう切望する次第である。
以 上
参考のため、林大樹の手紙を添付する。
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平成21年10月10日
千葉景子法務大臣様
会員 林 大樹
先日はお忙しい中有り難うございました。
大臣と直接お話しができたあの時間は、言葉に表せないほど大切な時間となり、一生忘れることはないだろうと思います。
正直なところ、時効成立まであと3ヶ月となった今、このまま母さんを刺した犯人は捕まらず、のびのびと残りの人生を楽しむのだろうと諦めかけて、事件のことはあまり考えないようにしていました。だけど大臣とお逢いした時、大臣はこんな僕にもちゃんと目を合わせて最後まで話しを聞いてくださいました。
その時、なんて誠実な人なのだろう、この人が法務大臣なら何とかしてくださるのじゃないかと思いました。諦めかけていた心が一気に期待へと変わりました。 毎日犯人を憎み、たとえどんなに楽しいことがあっても必ず心のどこかには、もし事件がなければと考え、楽しむことができない自分がいます。
そんな生活を死ぬまで送らねばなりません。しかし、加害者側の人間は全く反省もせず逃げて、時効が成立しさえすれば何事もなかったかのように残りの人生を楽しむのです。こんな正義に反する制度が存在して言い訳がありません。
僕が小学生の頃、父に連れられて東京の岡村先生の法律事務所に行き、その時初めて岡村先生と会いました。幼かった為、何をしに岡村先生のもとに向かったのかは分かりませんでしたが、父が先生に何かを必死にお願いしているのだけは分かりました。
そしてその頃から「あすの会」の活動が始まったのです。全国から被害者や遺族の方々が同じ目標に向かって集まり、活動し始めたのです。 父も様々な活動をし、人形劇まで行ってきました。その甲斐あってか犯罪被害者等基本法ができました。
また、平成16年の法改正で時効の期間が延びて、うれしいと思っていたのですが、父に聞いたら、過去の事件、つまり母さんの事件には適用されないとの事で悔しい気持ちになりました。来年の僕の誕生日が、母の事件の時効の日です。
明日にも時効が成立する被害者がいるはずです。そのような人達の為にも一日でも早く時効を廃止してください。お願いします。(原文のまま)
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