TOPICS(ニューズ・レター)


国家賠償訴訟の一審判決を終えて
桶川ストーカー事件遺族 (2003.5.1)

 この裁判の判決が、去る平成15年2月26日にさいたま地方裁判所から下されました。 内容は、全く信じられないものでありました。 埼玉県警上尾署のこの事件で、私たちが助けを求めていたにもかかわらず、怠慢捜査、無捜査を行った直接の担当警察官は、既に行われた刑事裁判の中で有罪判決が下され懲戒免職処分となっています。

このような事実がある中、判決内容の要旨は、
  1. 警察の捜査懈怠の違法性はあり、娘が名誉毀損の被害を受け、さらに被害を受けることが客観的に認められたのに、警察が適正な捜査をして市民を犯罪者から守ってくれる期待・信頼を、捜査懈怠等により侵害した事による慰謝料が認められるので被告埼玉県(警察)は、原告(被害者)に慰謝料500万円の支払いを命ずる。

  2. 但し、警察の捜査懈怠等と娘の死亡との間には、相当因果関係はない。 として、この裁判で私たちの訴えてきた本質は、裁判所の警察擁護の方針の下に掻き消されてしまいました。

 娘は、私たちは、ストーカー達の名誉毀損行為のみを警察に訴えてきたのではありません。様々な被害を受け、娘は、自分と家族を心配して、身内に何をされるか分からない危機感と恐怖感を抱き、犯人達から家族を助けて欲しいと警察に救いの手を求めに行ったのです。極めて大きな信頼と期待を抱きながら何度も足を運んだのです。

 しかし、警察が行ったことは、怠慢捜査と無捜査でありました。その結果が、娘の殺害に繋がってしまったことは、誰が考えても明確なのであります。それを裁判官は、警察の捜査怠慢等と娘殺害の因果関係はないと言いますが、一般国民は信じられるのでしょうか。何故か、裏の別の意図が、隠されているとしか考えられません。警察がこの稀なケースの国賠で負けるような事があると、第二、第三に繋がるとすれば、被害者の言い分は、絶対に認められない事なのです。

 判決の2週間まえに埼玉県警本部長は、警察署協議会代表者会議で、この事件で非を認め謝罪し、警察自身で作成した「調査報告書」は、警察庁が書けといったから、不確かな非のことまで書いたものである。また、原告は、「金が取れなかったら控訴するだろう」との発言をしています。そればかりか、判決1〜2時間後に警察幹部宛にメールで、同様な報告、連絡をしています。  
警察と一審の裁判官は、私たち並びに多くの一般市民の信頼を大きく裏切ったと痛切に感じました。いや、「真の市民の信頼」とはなにかを良く考えてはいないのが、現状だと言うのが適切なのでしょう。

今後も、真実を徹底的に覆い隠す事は出来ないし、
それを許す事をさせてはならぬと強く考えております。
裁判は、また始まります。 真実は、こちらにあります。
また娘の笑顔を思い浮かべ、 前を見て進んでいこうと思っています。

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