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まとまった犯罪被害者等基本計画案(骨子)
 弁護士 白井 孝一 (2005.8.31)

【1】犯罪被害者等基本計画案作成の仕組みと日程
犯罪被害者等基本法は、平成17年4月1日から施行されました。基本法は犯罪被害者等の権利を定めるとともに、「犯罪被害者等基本計画」を定めなければならないとしました。この基本計画に従って関係省庁が具体的な内容の整備をしていく仕組みになっています。ですから、基本計画にどのような内容が盛り込まれるかが、今後各種制度が充実したものとなるかどうかの境目となってきます。

基本計画案作成作業は、11名の専門委員(岡村代表も専門委員の1人です)と担当国務大臣による「犯罪被害者等基本計画検討会」で行われています。検討会は、4月から7回開催され、その検討結果が「犯罪被害者等基本計画案(骨子)」としてまとめられました。

内閣府は、この骨子について国民からパブリックコメントを求めた上で、さらに検討会を重ね、最終的に本年12月、検討会の結果に基づき、内閣府の犯罪被害者等施策推進会議が「犯罪被害者等基本計画案」を決定し、これが閣議で正式な基本計画として決定されます。

基本計画が決定されると、推進会議の監視等のもとに、関係省庁において具体的な制度の立案や法律改正案作成などの作業に入ります。計画期間は平成22年度までの約5年間とされていますが、各項目では「2年を目途に」などと短期間での整備を義務づけています。

【2】『犯罪被害者等基本計画案(骨子)』の構成
  1.  基本方針・重点課題・計画期間
    基本理念に則った「基本方針」のほか、
      (1)損害回復・経済的支援等への取組、
      (2)精神的・身体的被害の回復・防止への取組、
      (3)刑事手続への関与拡充への取組、
      (4)支援等のための体制整備への取組、
      (5)国民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組、
       の5つの「重点課題」が設定されています。

  2.  重点課題に係る具体的施策
    上記の5つの重点課題に交通事故被害の問題等の1項目を加えた6項目にわたり、具体的施策が定められました。それぞれの項目は全て、 [現状認識]、[基本法が求める基本的施策]、[犯罪被害者等の要望に係る施策]、[今後講じていく施策]

    から構成されています。[今後講じていく施策]については、運用改善の範囲にとどめようとする関係省庁と一部専門委員との間でかなりの攻防が行われました。

  3.  推進体制
    [基本法から導き出される事項]に基づいた[今後講じていく施策]として、国と各種機関・団体等の連携、犯罪被害者等の意見の反映、犯罪被害者等施策推進会議における施策の実施状況の監視等が定められています。

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