はじめに、私の娘の事件と裁判の経過を簡単に記しておきます。
平成10年2月19日午後4時30分頃、東大阪市内のカラオケボックスでアルバイトをしていた私の娘が、勤務中に刃物で数カ所刺されて命を無くしました。19歳と4ヶ月の命でした。
犯人はレジの中から4万円そこそこを奪って逃走しました。40日後の3月31日、別の事件で現行犯逮捕された43歳の無職の男が、取調中に犯行を自供し再逮捕されました。
逮捕されて70日後の6月9日に大阪地裁で初公判が始まりました。犯人と思われる被告人は自供を覆して「やっていません。連れの友達がやりました」と言い出しましたが最後には自供したということです。
裁判も回を重ねて行くと検察官、被告人、被告弁護人との三者のやりとりで、被告人が“嘘”をついていることがハッキリと分かりました。
傍聴席に座っている私は、被告人に対する検察官の質問に歯がゆくイライラすることがあり、立ち上がって叫びたくなりましたが、被害者遺族には許されないことでただ傍聴席に座っていることしかできませんでした。
初公判から1年と6ヶ月たった14回目に地裁の判決では無期懲役が言い渡されました。年が明けて平成12年1月27日、被告人の控訴申し立ての通知が届き9ヶ月後の10月11日大阪高裁で控訴審の1回目の公判が始まりました。
そして平成13年4月11日、4回目の控訴審で控訴棄却の無期懲役が言い渡されました。2年6ヶ月間に計18回の裁判がありました。
今年の1月31日の朝刊に、各社新聞(見出しは異なる)がトップで取り上げた「刑事裁判に被害者参加制度」に驚きの眼で紙面の活字を追いました。
犯罪被害者等の刑事手続き参加等を求める署名活動から4年目にして実現するのかと、喜びが抑えきれない気持ちになりました
傍聴席で言いたいことも言えなかったことが言えること、損害賠償請求もできること、しかも同じ裁判官でできることは、これからの被害者にとって大きな救いであると同時に、日本の裁判が変わって行くのです。
私達(犯罪被害者)の眼の届かないところで、これらの問題に取り組んでこられた皆様方に私は「ご苦労様でした」と、ここに感謝申し上げます。
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