この12月から刑事裁判に被害者が参加人として参加できるようになるにあたって、被害者も国の費用で弁護士が付けられる「国選被害者参加弁護士」制度ができました。
参加と同じ12月1日から始まります。
被害者が国選弁護士を付けるには、事件のため必要となった治療費等を控除した後、現金・預貯金等が150万円以下であることが必要です。
不動産等現金化が簡単でない財産については考慮されません(不動産があっても現金・預貯金等が150万円以下であれば国選弁護士を付けられます)。
国選の場合、加害者は弁護士を選ぶことはできませんが、被害者は弁護士について意見を言うことができます。これは、裁判前にすでに援助を受けていた弁護士に、裁判についても引き続き国選で依頼したいという場合等のためのものです。
被害者の国選制度は、刑事裁判に参加する被害者のためのものなので、国選弁護士の業務は刑事裁判に関することに限られ、裁判以外の援助---マスコミ対応、示談交渉、被害者給付金関係、その他については、別途弁護士に依頼する必要があり、費用が発生することもあります。
その場合は国選ではなく、法テラスで弁護士費用の援助を受けることができます(援助を受ける場合の経済的要件は国選弁護と同じです)。重大事件の加害者は裁判前でも国選弁護士を付けられるようになったのに対し、被害者についてはこの点まだまだ遅れているところです。
これまで加害者には、憲法で弁護人を付ける権利が保障され、国の費用で弁護人を付けることができた一方、被害者のための公的援助は、ほとんど何もない状態が何十年も続き、ようやく平成13年に旧(財)法律扶助協会で犯罪被害者法律援助が始まり、今回国選制度ができるに至りました。
しかし、平成19年度に被害者が援助を受けたのは195件、2400万円程度にすぎない(事件終了後に支払われる弁護士報酬があるので、実際にはこれより増える予定ですが)のに対し、加害者の国選弁護報酬について法務省は、平成21年度の予算として、平成20年の約2倍として185億円を要求しています。
被害者が充分な支援を受けられるよう、制度に伴う予算の大幅な拡充が今後の課題です。
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