あすの会が発足して満3年を迎えた。 2000年1月23日、全国から180人を越す犯罪被害者が狭い会場に詰めかけていたあの熱気は、今も忘れることはできない。その日設立された犯罪被害者の会の設立趣意書には、次のように書かれている。
犯罪被害者の権利と被害回復制度の確立は、国や社会の義務としながらも、「(これは)被害者自身の問題ですから、支援の方々に任せるだけでなく被害者自らも取り組まなければなりません。そのため犯罪、犯罪被害者のおかれている理不尽で悲惨な現実を訴え、犯罪被害者の権利、被害回復制度について論じ、国、社会に働きかけ、自らその確立をめざすため『犯罪被害者の会』を設立します」と。
国や社会の義務ではあっても、人任せにしないで「自らその確立をめざす」というのが、あすの会の精神である。諸澤先生をはじめ被害者問題に熱心な弁護士の協力を得てヨーロッパ調査団を結成し、一年間の周到な準備の後、昨年9月ドイツ、フランスの司法制度を調査した。その報告書を作成し、その結果は、12月8日のシンポジウムで発表し、大きな反響を呼んだ。
その概要は、ニューズレターに掲載されているとおりである。
ドイツ、フランスでは、犯罪被害者は証拠品ではなく事件の当事者であり、加害者と同等の権利を持って法廷で対峙することを当然としていた(訴訟参加)。
「20年前までは、犯罪被害者は証拠品であった。しかし、犯罪被害者は、尊厳と人権を犯された当事者であって、証拠品にしてはいけない」というドイツ、フランスの司法関係者の意見に、大きな感銘を受けた。また、刑事手続きのなかで民事の損害回復制度(附帯私訴)を持っている。
犯罪被害者を社会秩序維持の証拠品にするわが国の刑事司法に、改めて大きな怒りを覚えた。
総会では、
刑事司法は、被害者のためのものでなければならないという理念、
訴訟参加、 附帯私訴制度の創設の3点について決議し、
署名運動を展開することにした。
できるだけ多くの署名を集めよう。そして、現在行われている司法制度改革推進本部長である内閣総理大臣に提出しよう。
運動の成否はどれだけ多くの署名を集めることができるかにかかっている。被害者自身の手で、司法制度を変えていこう。
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