「地方自治法99条に基づく意見書」と言われても何のことやらさっぱりわからないというのがおおかたの反応でしょう。
実は私もそうでした。地方自治体には、いろんな要望や意見を国に提出するという法制度があり、「犯罪被害者の権利と被害回復制度の確立のため制度を作ってください」と最初に国に提出してくださったのが、大阪府堺市議会。
きっかけは堺市女性センターという団体から被害者問題についての講演依頼があすの会にありお話させていただいたのですが、犯罪被害の深刻さを知り何か応援できないものかと模索してくださった、ある議員(無所属)の活動の賜物でした。
あすの会ではこのことに力を得て署名活動に続く本年の重要な活動と位置づけ、
各地の地方自治体に「定例会で採択して頂くよう」陳情活動を行っています。
粉雪が舞い散り、指先がかじかんで動かない中。雨風の中。暑い日差しの中で口の中がカラカラになりながらも大声をだした日。
今では懐かしい思い出になった全国47都道府県で展開した街頭署名活動は、土曜・日曜もしくは祝祭日の活動でしたから皆様と一丸となって達成することができました。
しかし、今回の地方自治体への陳情は平日に行わねばならないこと、「会期」という限られた期間があること、地方自治体は全国に3,100ほどあるということなどの困難があります。
ですから幹事会では47都道府県と県庁所在地及び政令指定都市を目標にすることになりました。今まで体験のない「自治体議員の方と話す機会」が増え、その体験から申しますと、やはり犯罪被害者の抱える深刻な問題の実態を全く知らない議員の方が圧倒的多数だったことと、事の重大性に気付くやいなや、すぐさま親身になって陳情の中身を聞 いてくださる議員の方も圧倒的多数であったということ。
こうした結果、関西では議員さん達のネットワークで自主的に意見書を提出する動きが出てき始めました。国への働きかけは意見書の数が多ければ多い程その重みを増すはずで、こうした地方議会議員の方々の自発的な応援が全国的に広がってくれたら本当にうれしい。
あすの会は設立後、ヨーロッパ調査団派遣・全国署名活動と犯罪被害者の抱える問題を社会に提起してきました。これらのことは国民全般に直結する重要な問題なのですから、本来、政(まつりごと)を司る(つかさどる)立場にいる方々の仕事のはずです。被害者たる私たちが行うには辛すぎる作業です。
なぜ、長年にわたり被害者問題は顧みられることなく放置されてきたのでしょうか。
それは「被害者以外、誰も知らなかった」ことが全て、と私は思います。
地下鉄サリン事件・神戸連続児童殺傷事件などで社会はようやく「犯罪被害者の存在」に気付きました。
それまでなかなか動いてくれなかったマスコミが気付き報道し始めたからです。しかし単に被害者の存在ではなく、「被害者の抱える深刻な問題の存在への理解」はあすの会の誕生によってようやく広まったと言っていい。
後はこれをどう解決するのか・・です。
あすの会の設立趣意書に「苦しみと悲しみを生きる力に変え、今生きている社会を公正で安心できるものにするため、心と力を尽くします」とあります。
犯罪被害者問題の理解者を増やすためにも皆様お住まいの役所・役場、もしくは議員の方に陳情の相談をしてみてください。きっと親身になってくださるでしょう。そこから社会という水面(みなも)に新たな波紋がきっと生まれるはずです。
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