昨2004年12月に犯罪被害者等基本法(以下基本法)が成立し、本年4月からは、岡村代表も参加されて、同法の基本計画検討会が開催され、8月には基本計画案(骨子)が発表されました。それに対し、9月5日までの短期間ではありますが、広く国民の意見を聞くパブリックコメントが募集されました。
今回の24号のニューズ・レターは、当会の意見だけでなく、我々被害者を支援してくださっている多くの弁護士の方々のご意見、さらには、一般の支援者のご意見をお知らせする特集にしました。別添にしてありますので、ご一読いただければ幸いです。
基本法の成立により、犯罪被害者を取り巻く環境が改善されつつあるとの感触は確かなものになりつつあります。 このような時に、基本法の成立に果たした当会の役割を再確認する事は、次の段階へ進むためにも意義のあることだと思います。
2000年に当会が発足し、その3年目には犯罪被害者が刑事手続きにどのように参加しているか、その方面での先進国であるドイツ、フランスに調査団を派遣しました。その結果、法制度の違いはあるが、工夫することによって訴訟参加、附帯私訴の制度の導入は可能であるとの結論に達しました。
この結論に基づき、
2002年の第4回シンポジウムで、「被害者のための刑事司法」、「訴訟参加」、「附帯私訴」の創設を求める大会決議をしました。
同時に、その決議の実現を司法制度改革推進本部長である小泉内閣総理大臣に求める要望書という形での署名活動をスタ−トしました。署名活動は、 2003年2月1日の新宿駅西口を皮切りに、全国50箇所の県庁所在地等で展開されました。
その署名が39万人に達した7月には岡村代表らが小泉総理大臣にお会いし、被害者の実情を話し、要望書の趣旨を説明しました。
総理は被害者の実情に驚かれ、早速、党と政府で取り組む事をその場で約束されました。この総理の一言から自民党が犯罪被害者問題を取り上げ、犯罪被害者対策チ−ムをつくり、上川陽子衆議院議員が取りまとめ役となり、自民党の精力的な活動が始まりました。
2004年に入り、月に2〜3回の早朝会議を経て、種々検討整理され、最終的に55万名余の署名と地方議会の意見書に後押しされて、全党にも呼びかけ、議員立法として犯罪被害者等基本法が12月1日に全党賛成で成立しました。
成立後、自民党のある高官が「総理に対する岡村代表ら被害者の実情の訴えと総理の一言がなければ、犯罪被害者等基本法が成立する事はなかったのではないか」と述べておられたのが印象に残っております。
第一次ヨーロッパ調査報告書の巻頭結語に「この調査が『被害者の尊厳を守るための司法』に向けた改革の一歩になれば幸いである。」との記述がありますが、その一歩を踏み出したのが、基本法および今回の計画であり、その実現をより確実にするための今回の意見書提出でもあったのです。
当会が主張している、「被害者のためでもある司法」、「訴訟参加」、「附帯私訴制度の創設」、「被害者のための補償制度の確立」を我々の次世代のために是非実現して欲しいと願っております。
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