6月20日の刑事訴訟法一部改正を報告する号外を出してから、今日まで発行しませんでした。早いもので、今年も犯罪被害者週間が巡ってきました。この一年は、本当にめまぐるしい一年で、犯罪被害者の歴史において忘れられることのできない年となるでしょう。
昨年10月から始まった法制審議会での身を削るような議論の末、やっとできあがった法案に対して、日弁連は何回も反対意見を出すとともに、全国の弁護士会に対して同様の意見を出すよう勧誘し、政党へ反対のロビー活動を展開しました。
しかし、法案に賛成する良識のある弁護士有志が、3日間で355人集まって法案賛成の声明を出してくれました。
「あすの会」が、全国の弁護士にお願いして、与党・野党に対する法案成立の要請書の提出をお願いしましたところ、延べ2579通の要請書が集まりました。
その間、私は日弁連会長に対して法案についての公開討論会の申し入れをしましたが、「民間とは話をしない」という理由で拒否されました。
日弁連は、民間の立場に立って官(国)を批判する在野精神を売り物にしてきたのに、何時の間に、民間を見捨てて官を相手にする団体になったのでしょうか。
日弁連は「この法律ができれば、将来に禍根を残す」と言っています。それなら法案成立の先頭に立つ私と国民の見る公開の席上で徹底的に打ち負かして将来に禍根を残さないようにすべきではないでしょうか。なぜこの好機を逃がしたのか、不思議でなりません。
日弁連会長は、犯罪被害者の中にも法案反対者がいると言いましたが、それはせいぜい数人で、その理由も明確ではありません。また上記のとおり、弁護士の中に大勢の法案賛成者がいますが、これについては何も触れていません。
5月に法案審議が始まってから、日弁連のロビー活動に負けないよう、私達も国会議員の先生方にお願いして回りました。被害者の実態を知っている与党の先生方は、好意的でした。特に6月12日、上川先生とともに安倍総理にお目にかかり、「どんなことがあっても成立させます」と言ってくださったときほど嬉しかったことはありません。
私は、衆議院の法務委員会で参考人として意見を述べたほか、衆参両院の本会議、法務委員会には、会員とともにすべて出席しました。6月20日参議院本会議が開かれ、電光掲示板に「賛成205票、反対18票」と表示されたときは、涙でかすみ読むことができませんでした。最終的には民主党の先生方も法案に賛成されました。
これも会員や支援の方々のお陰であり感謝に堪えません。これで多くの犯罪被害者が救われることでしょう。
被害回復制度については、内閣府の経済的支援の検討会で答申がまとまりました。「あすの会」の主張とは隔たりがあるとはいえ、現段階では最大限取りあげられております。 全国から寄せられた激励、会員の努力、特に顧問弁護団の皆さんに心から感謝申し上げます。
また、日弁連執行部の強い反対にもかかわらず、終始法案成立のためにご尽力をいただいた犯罪被害者支援委員会の弁護士の先生方にも御礼申し上げます。
ありがとうございました。こうして法律が成立した以上、今後は、日弁連の積極的な被害者支援を期待しています。
最後になりましたが、当会の活動を熱心に応援してくださり、第7回シンポジウムの際にも法案成立に向けての決意表明をしてくださった上川陽子衆議院議員が、この度、国務大臣に就任されました。
熱い思いで被害者問題に取り組んでくださった上川先生が国務大臣になられたことはたいへん嬉しく、今後のご活躍を心からお祈り申し上げます。
今年は、「あすの会」設立第8回大会です。有意義な大会にしましょう。
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