司法制度改革審議会の答申を受けて、21世紀の司法を作る制度の改革がいよいよ動き出した。内閣府に司法改革推進準備本部が設置されたが、次期国会で司法改革推進法を成立させ、司法改革推進本部に衣替えする。3年をめどに司法改革の実現をはかるという。
しかし残念なことには、司法制度改革審議会の答申は、加害者の権利は国選弁護の拡充など拡大されているのに、被害者の権利は現状のゼロのままで据え置きである。
当会は、刑事司法は、社会秩序維持のために存在し、被害者のために存在するのではないという最高裁判決の見直しを強く求め、刑事司法の本質論を十分審議してほしいとの意見書を出したが(ニュレズレター7号参照)無視された。
ドイツやフランスは、被害者に公訴権を与えたり、検察官の控訴した刑事訴訟に被害者が参加し、証拠申請をし、質問し、裁判官を忌避し、上訴する権利まで認めている。被害者感情を尊重した制度であり、司法に対する信頼となって現れている。
復讐権を奪われた犯罪被害者が加害者を追求し、真実を知り得る機会は法廷しかないのだが、わが国の刑事司法は、被害者の刑事手続きへの参加を拒否して被害者を傍聴席に追いやっている。捜査や裁判の都合で、必要なときだけ呼び出され、終わればお払い箱だ。公益のために利用され、被害者を使い捨てにするこんな刑事司法を、被害者が信用しないのは当然である。
司法制度改革審議会の答申は、
国民のための司法とか、国民に信頼される司法とかいうが、
その国民とは加害者のことらしい。
改革審議会通りの刑事司法が実現したら、
被害者は今までと同様に泣き続ける事になる。
被害者のための正義を実現する刑事司法の実現に向けて、
われわれは、国民運動を展開しなければならない。
時間は少ない。
|