「自由民主党政務調査会司法制度調査会経済活動を支える民事・刑事の基本法制に関する小委員会」は、本年2月(2004.2)より犯罪被害者対策に関しての検討に入りました。
委員会は現在までに8回開かれましたが、あすの会も7回出席してきました。2月26日には、岡村代表幹事が意見陳述を行いました。
5月13日(木)の委員会では、上川副委員長から座長試案の報告がありました。試案は、犯罪被害者支援の遅れを取り戻すべく、支援の必要性(意義)を示す6項目と基本的な考え方を示す5項目からなる総論部分と、各論にあたる意見・要望73項目を、司法手続、経済損失回復、身体・精神的損害回復、被害者支援ネット、被害者基本法の5部門に分類した部分から構成されています。
この試案は、事前に犯罪被害者からのヒアリングを実施するなど周到な準備のもとに作成されただけに、委員会での議論も含め、広範囲にわたって的確にまとめられたものになっています(上川副委員長は、当会会員とも懇談の場を設け、熱心に話を聞いてくださいました)。
今後はこれをたたき台として、更に意見、要望があればそれを追加し議論を重ね、犯罪被害者基本法と併せて、6月上旬に中間報告書として取りまとめられる予定です。 委員会の席上、保岡司法制度調査会会長から、憲法改正問題委員会では、犯罪被害者の権利を憲法に取り入れることについても検討がなされている旨の発言がありました。また、塩崎委員長からは、法務省が現在推進しようとしている司法ネットにおける被害者に対するサービスが、ネットへの接続程度にとどまっていることの再確認がなされ、法務省から被害者の権利が確立していない現状では、その程度のことにとどまらざるを得ない旨の回答がありました。
議員の中には「犯罪被害者基本法」ではなく「犯罪被害者支援基本法」の方が望ましいとの発言がありましたが、「支援法」ではなく「基本法」であるべきだと思います。 全国被害者支援ネットワークの山上会長からは、犯罪被害者支援のための財政支援を要望する文書が席上配布され、また被害者支援都民センターの大久保事務局長からは、被害者の気持ちを知って二度と罪を犯さないために、「命のメッセージ展」を加害者のいる施設で実施したい旨の発言がありました。
あすの会では、検討の結果、
- 刑事司法は公の秩序維持(公益)のためだけでなく、犯罪被害者のためにも存在するという理念を明確にする。
- 仮釈放(仮退院・仮出獄など)中の犯罪について、国家賠償をする制度を作るべきではないか。
- 重大事件の出院者、刑期満了者については、最初の帰住先だけではなく、生涯にわたり国が住所を把握して、被害者が必要に応じてその情報を受けうるようにすべきである。
- 犯給法の支給について、過失犯および親族関係者の犯罪についても適用すべきではないか。
- 被害者が民事訴訟を提起するとき、警察署を住所とすることができるようにする。
以上、5項目を追加提案しました。
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