刑事事件の判決を聞くと、量刑の事情の中で「被告人が反省している」ということが引用され、これを根拠に減刑されることがよくあります。しかし、これは2つの意味でおかしなことではないでしょうか。
- ■1つは、
- そもそも後から反省したからといってどうして減刑される大きな理由になるのでしょうか。もちろん反省もしていない者に比べれば反省している方がいいに決まっています。しかし、被害者から見れば、被告人が反省しても被害が回復されるわけはありません。このことは殺人事件を考えてみれば容易に分かることでしょう。いくら被告人が反省しても被害者は戻ってこないのです。むしろ、反省していないということが刑の加重事由になってもいいのではないでしょうか。
- ■もう1つは、
- 単に被告人が「反省している」と言っているだけで(あるいは若干の付加事情があるだけで)、被告人が反省している、という認定がなされていると思われることが多い点です。これなどは、被害者から見れば納得できないはなしです。ただ、最近注目された裁判の中で、裁判長が判決を言渡した後で、さだまさしの「つぐない」という歌に言及しながら、この歌を聴けば、君たち(2名の被告人のこと)の反省の弁がいかに人の心を打たないかが分かるだろう、と説諭したことがありました。これなどは、本当に反省しているかどうか裁判所がきちんと見極めようとしているものであると思います。
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