2.2000年少年法改正で制定された被害者配慮規定の改正 |
(1) 被害者等による記録の閲覧及び謄写(法5条の2)
- 被害者等による記録の閲覧・謄写許可の要件として「正当な理由」「相当と認めるとき」があげられているが(法5条の2)、これらの文言は削除するべきである。
- 「確定後3年」以内(同条の2第2項)という条件を撤廃するべきである。
- 謄写手数料を無料化するべきである。
- 一定の重罪事件被害者には社会記録の閲覧・謄写も認めるべきである。
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(理由)
【1】「正当な理由」「相当と認めるとき」の文言の削除
- ア.
- 「相当と認めるとき」とは、不当に少年の健全な育成を妨げ、不当に関係人の名誉もしくは生活の平穏を害し、または調査もしくは審判に支障を生じさせるなどの不当な影響が出る場合を意味するとされるが、いずれの理由も、閲覧・謄写した者がその情報を不当に利用した場合に生じる不都合を列挙したものにすぎず、これは同条の2第3項において、不当な利用を禁止する条項がある以上、重ねて規定する必要のないものである。
また、そもそも他人の生命・身体等というプライバシー以上ともいえるものを奪った加害少年について、被害者等との関係においてさえ、そのプライバシーを尊重せよと一方的に主張することの不当性に気づくべきである。
- イ.
- 「相当と認めるとき」とは、不当に少年の健全な育成を妨げ、不当に関係人の名誉もしくは生活の平穏を害し、または調査もしくは審判に支障を生じさせるなどの不当な影響が出る場合を意味するとされるが、いずれの理由も、閲覧・謄写した者がその情報を不当に利用した場合に生じる不都合を列挙したものにすぎず、これは同条の2第3項において、不当な利用を禁止する条項がある以上、重ねて規定する必要のないものである。
また、そもそも他人の生命・身体等というプライバシー以上ともいえるものを奪った加害少年について、被害者等との関係においてさえ、そのプライバシーを尊重せよと一方的に主張することの不当性に気づくべきである。
【2】確定後3年以内という条件の撤廃
閲覧・謄写の期間を確定後3年に限定したのは、民事の損害賠償請求権の時効期間などを考慮したものとされているが、このような条件は撤廃すべきである。
記録の閲覧・謄写は、上記のように民事の損害賠償請求権の行使のために必要な場合に限られるべきではないから、被害者等の「知る権利」に資するものとして、記録が保存されている限り閲覧・謄写には応じるべきであり、閲覧・謄写ができる期間を制限すべきではない。
【3】謄写料の無料化
現在、記録の謄写費用は、民事訴訟費用等に関する法律が準用されているが(法5条の3)、被害者等が謄写料を自己負担しなければならないというのはあまりに不合理であるから、無料とするべきである。
【4】
社会記録には主に少年のプライバシーに関わる事項が記載されている。
そのため、少年のプライバシー保護のためにその閲覧・謄写は厳格に制限されている。
しかし、被害者が死亡したり、深刻な障害が残るような重大事件の被害者の場合、被害者等はその事件によって一生を失ったのであるから、少年がそのような事件を起こすに至った理由をその家庭環境や養育歴も含め、知る権利があると考えるべきである。
ただし、被害者等は社会記録を閲覧することで知り得た少年のプライバシーに関する事実を、正当な理由なく公表してはならないという制限を設ける必要はある。
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