簡単にいえば、刑事裁判の手続を利用して、重大な犯罪によって被害を受けた人の損害賠償請求を審理してもらう手続です。
被害者が刑事事件の裁判所に損害賠償請求の申立をしますと、裁判所は刑事事件の判決をした後に、民事の請求について原則として4回以内の審理を行って損害賠償命令の裁判を行います。
今までは、被害者が加害者に対して損害賠償の請求をしたいと思っても、刑事裁判とは全く別の手続で民事裁判を起こさなければなりませんでしたが、この制度を使えば、被害者は申立人の名前と被告人の名前、請求金額、訴因(起訴された事実)などを書き、2,000円の印紙を貼って、刑事事件の裁判所に提出するだけでよいのです。
損害賠償命令は刑事事件の有罪判決を基にして、刑事を担当した裁判官が行うので、被害者の心理的負担も軽くなり、一つの手続で刑事民事の解決を図ることができるようになります。
また、損害賠償命令の裁判(決定)には、「仮執行宣言」を付けることができるので、被告人に財産があれば、強制執行をすることもできます。
ただ、残念なことに、損害賠償命令に対して相手方が「異議」を出すと民事訴訟の一審に移行し、そうすると通常の印紙も貼らなければならなくなります。
また複雑な民事の争点があるような場合にも、民事の裁判所に移送されることがあります。
しかし、刑事の裁判所から記録が民事の裁判所に送付される点、一から民事裁判をしなければならない現状よりは改善することになっています。
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