昨年7月8日、当会の幹事が小泉純一郎内閣総理大臣に面会して、署名要望の実現についてお願いしたところ、総理は被害者のおかれた現状に驚かれ、「早速政府と党で検討する」と約束してくださり、党首討論、国会の所信表明演説でも、犯罪被害者の人権を守る施策をとることを言明してくださったことは、ニューズレター15、16号に掲載したとおりです。
また、ニューズレター18号で報告しましたとおり、自由民主党は、上川陽子衆議院議員が責任者となって犯罪被害者問題に関する検討を始め、本年2月から14回にわたって、熱心な討議が行われ、私や当会の幹事も出席して意見を述べてきました。
その結果「犯罪被害者のための総合的施策のあり方に関する提言」をまと纏められ、保岡興治司法制度調査会会長、塩崎恭久基本法制小委員会委員長、上川陽子副委員長が、6月15日杉浦正健内閣官房副長官に提言を提出し、翌16日には小泉総理に対して直接その実現を要望されました。
両日とも私達当会の代表も同席しました。
提言は非常に立派なもので、被害者の尊厳を認めてこなかったことを反省し、被害者の権利を尊重し、訴訟にも参加させなければならないことが明記されているほか、経済的、精神的に被害者を支援することは国の責務とする犯罪被害者基本法を早急に策定して、必要な施策を講じなければならないとしています。細かい点は別として私たちの主張がほぼ全面的に認められておりますので、是非ご覧になってください。(「犯罪被害者のための総合的施策のあり方に関する提言」はこちら)
他方法務省は、「犯罪被害者のための施策を研究する会」を立ち上げて、犯罪被害者の権利について具体的な検討を開始しています。
署名の効果は、こういう形で現れてきました。
寒いとき、暑いときに署名にご協力くださった会員やボランティアの方々、長年物心両面にわたって私達を支えてくださった「犯罪被害者の会を支援するフォーラム」の皆様をはじめとする多くの方々に厚くお礼申し上げます。
立派な提言が出たとはいえ、これを立法化し、具体化してゆく過程では、既存の制度や法文化との衝突をきたす様々な困難が予想され、従来にもまして活動を続けなければならないと考えています。
凶悪犯罪は相変わらず増え続けています。被害者が安心して生活できる社会をつくるため、今後ともよろしくご支援を願い上げます。
署名活動はこれで終わりましたが、現在は全国自治体の議会から、地方自治法99条による意見書を内閣総理大臣、衆参両院議長、法務大臣その他の関係大臣に提出する運動を行っています。
時節柄、充分ご健康にご留意くださいますよう、お願い申し上げます
平成16年6月28日
全国犯罪被害者の会(あすの会)
代表幹事 岡 村 勲